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京都・妙心寺の退蔵院に「瓢鮎図(ひょうねんず)」という絵がある。室町時代のはじめ、山水画の始祖といわれる如拙が、足利将軍の求めに応じて描いたものといわれ、国宝になっている。字づらからはアユの絵と早とちりしそうだが、描かれているのはナマズだ。中国では、「鮎」はナマズである。 ところが、日本のナマズはアユに本来の漢字を奪われ、中国ではあまり使われない「鯰」の文字を当てられている。ほっそりとした「若鮎」を、ズングリしたナマズと見誤るわけはないから、何か理由があるはずだが、真相はよくわからない。

 「アユ」の語源にも、(1)弱々しいという意味の「脆(あ)ゆる」(2)ごちそうするという意味をもつ「饗(あ)ゆる」(3)美しいことを意味する「あや」(4)川を下るつまり落ちるという意味の「あゆる」(5)「ア」は小さいことで「ユ」は白いこと――などの説がある。「古事記」の時代から、方言や地方名がほとんどなく、いつの世も、どの地方でも「アユ」で通用してきた。これも、日本人とアユのつながりの深さを示す証拠といえるかもしれない。

ソフトバンクモバイルが5月下旬に発表した2機種は、米マイクロソフトの携帯端末向け基本ソフトの最新版「ウィンドウズ・モバイル6」を日本で初めて搭載した。日本でスマートフォン市場が注目され出した最大のきっかけは、PHS最大手ウィルコムが05年12月に発売した「W―ZERO3」シリーズ(シャープ製)。予約開始の当日に1万件以上の申し込みが殺到するなど「予想の数10倍の人気」で予約サイトが一時アクセス不能になった。 通話とデータ通信を合わせて月額5000円前後の定額制を導入し、より多くの機能を求める携帯電話ユーザーと、小型化を望んでいたノートPCユーザーが飛びついた。07年春までに50万台以上が売れ、6月7日には新型機を発表。市場を引っ張り続けている。PHSなんて、とっくに消滅したんだとばかり思っていたが、しぶとい復活だね。

「黒いダイヤ」といわれた石炭を掘る炭鉱は、戦後の日本を支えた基幹産業だったが、乱堀により炭鉱閉鎖が相次ぎ、斜陽産業となった。いま、国内で唯一採掘しているのは、釧路沖の太平洋で水面下約320mのトンネルから掘り出している、途上国研修用の釧路コールマインだけである。あまり知られていないが、日本は世界最大の石炭輸入国だ。その6割を占めるのがオーストラリアで、日本では火力発電用のほか、製鉄の原料としても使われている。例によって、急速な発展でエネルギー資源が枯渇しそうな中国がちょっかいを出しているようで、価格の高騰は避けられそうもない。