◆バロック

だんじり・朝日新聞より

まほろば」は優れてよいこと、「バロック」はゆがんだ真珠、「鯛中鯛」はタイのタイと読む。「阿」はほとり、おかとも読み、「阿る」はおもねると読む、「シバリング」は医学用語、寒さで体が震えること、「とび職」は英語ではスパイダーマン、「弥と航」はわたると読む。

着物の丈が短すぎるのを「つんつるてん」、着丈が長すぎるのを「ぞろっぺえ」といい、木綿の裏地を「正花」(しょうはな)といい、「剣客商売」で小兵衛が愛用していた普段着は「軽杉袴」と書いて「かるさんばかま」と読む。「蝋扇」(ろうせん)とは、冬の扇子のことで、夏の火鉢と同様に役立たず、無用なことを言う。

「朝露葱」と書いてちょろぎと読む。お節料理で黒豆の上に載っている巻貝風の赤く着色された野菜のことをいう。この風変わりな名前は、中国語の「朝露葱」を日本語読みにしたものだろうとされている。根が蚕に似ていることから普通は「草石蚕」と書くが、「千代呂木」や「長老喜」という字を当てて、長寿を表すおめでたい食べ物としておせちなどに使われるようになった。

トルコの一部族だったオスマントルコは、15世紀半ばに東ローマ帝国を滅ぼしてから版図を拡大し、たびたび西ヨーロッパに侵攻した。トルコといえば、いわずとしれたトルコの軍楽隊。太鼓やシンバルに合わせ、吹奏楽器が強烈な響きでメロディーをかなえる独特な音楽は、ヨーロッパ中に広がった。ベートーヴェンの第九の終楽章にもトルコ行進曲が用いられている。

トルコのクレセントと呼ばれる楽器は今日でもヨーロッパの軍楽隊で見られる。クレセントとは三日月のことで、回教(イスラム教)国の象徴で、楽器はこの月と星を模した形になっている。
パン生地に良質の植物性マーガリンをパイ状にタップリと折り込んで焼き上げた、パンの「クロワッサン」の語源もこの三日月で、ウィーン包囲が解けた戦勝祝いに焼かれたのが始まりということだ。

窓のカギの主流は「クレセント」と呼ばれる三日月状の内カギである。建具用の金具で上げ下げ窓、又は引き違いサッシュの召し合わせ部などに取り付け内部の締め金具として用いる。三日月型をしているためこの様に呼ばれている。毎日使っているのに知らなかったなあ。

戦国時代、悲劇の英雄「山中鹿之介」は滅ぼされた尼子藩の遺臣として、お家の再興に尽力し悲願を達するが、武運つたなく再び滅ぼされてしまう。講談などで何度も読んで悲憤慷慨したもんだったが、彼が被っていた兜には三日月が擬せられていたのは有名な話だ。まさに悲劇を予感させるような兜の選択だった。