マクロビ

余った牛乳を業界用語では「余剰乳」というらしい。その余剰乳1000トンが廃棄処分されたという記事があった。高カロリーのイメージが強い牛乳は、健康ブーム、ダイエットブームのあおりで、豆乳やミネラルウオーターに押されて消費量が激減している。毎日飲む人が17年ぶりに4割以下になっているそうだ。牛乳の落ち込んだのは04年から流行している「マクロビデック(マクロビ)」が原因だといわれている。マクロビは乳製品や肉を避け、主に玄米など穀物や豆類、有機野菜を取るように提唱している食事法で、ダイエットにも効果があるといわれている。

マクロビなんていうと、いかにももの新しく聞こえるのがミソだが、なんのことはない、むかし流行ったベジタリアンそのものじゃあないか。水泳の自由形で天下無敵だった豪州のローズ選手がベジタリアンとして有名だったこともあった。だが、そんなものもいつの間にか消えてしまい、牛肉はブランド牛じゃなきゃ駄目だとか、マグロは近海物のトロだとか、トリは地内鶏だのと、食通がこうるさく主張する飽食の時代が長かった。

やり玉に挙げられた牛乳が真っ先に狙い撃ちされた格好だが、これからは同じ乳製品のチーズやヨーグルトの消費が落ち込む可能性もありえるというから、業界が真っ青になるのも当然の話しだ。だけど、つらつら考えてみると、不祥事を引き起こし、世間の信用をまったく失ってしまった雪印乳業が、この業界を落ち目の三度笠、つまり、奈落の底に落とした張本人だろうね。食べ物の世界だっただけに致命傷だったね。


「ヤセる」とか「健康にいい」という情報が発信されると、一斉にそれに飛びつく。否定する情報が出ると、たちまちクモの子を散らすように離れてしまう。消費者っていうのは、不定見、熱しやすく、さめやすい、しょせんそんなもんだから、生産者も大変だね。