老将

民主党新党首に63歳の小沢一郎がなったことで、世代交代が逆流したといわれている。小生意気な若手が理屈ばっかり振り回して、党のイメージを台無しにしてしまった代償でもある。だけど、もともとが「50、60鼻たれ小僧」といわれた政界だから、別に驚くには当たらないね。中曽根元首相いわく「まあ、百戦錬磨の老将が出現したという感じですね」。老将という言葉の響きが時の流れを非常に映し出す。

古い話だが、V9巨人を率いた名将、川上哲治は近寄りがたい「おじさん」に見えた。しかし、いまから振り返ってみると、功なり名を遂げた大監督の引退は54歳の若さだった。ザトベック投法と謳われた村山で阪神を優勝させた藤本定義監督は、もっとおじいさんに見えたが、それでも64歳の引退、三原脩水原茂両雄の引退もともに62歳だった。

戦後平均寿命が50歳を越えた頃に流行った唱歌「船頭さん」の歌詞には<♪♪村の渡しの船頭さんは ことし60のおじいさん・・・♪♪>とある。いまなら80歳の感覚なんだろうが、まもなく古希を迎える身にとっては、複雑な心境である。自分の姿を見ることは少ないから分からないけど、確かに、にょうぼの歩く姿を見ると、「歩く姿はユリの花」なんてセリフはとっくの昔のこと。「アッ!ババアが歩いている」ってしか思えないもんなあ。