◆食べたい

ハギ

現行の内閣を見ていると、これからドンドン老人いじめが強くなり、また都知事が替わったりすると、いま味わっている老人天国はもろくも崩壊するかも知れない。だけど、これまでの恩恵を思うと、あとは死ぬだけの人生だから、甘んじて受ける気持ちになっている。だからこそ、思うのだが、生きているうちに美味い物を出来るだけ多く食べたい。とはいえ金が有り余っているわけではないから、目指すのはあくまでB級グルメである。いくら美味い物でも、高い金を払って、乙にすました高級料理店や高級ホテルで食べたいなんて気持ちはさらさらない。

いまグルめっているのは豊洲近辺の各種飲食店巡りである。実を言うと、透析が始まるのが午後12時半、なんとも中途半端な時間である。当然透析以前になにか腹に収めていないと、低血糖になる。だからといって、我が家の朝食は9時前後だから、当然食欲がない。小さいオニギリだとか、ビスケットにコーラ、菓子パン半分なんて、ごく軽食で臨むことになる。

透析中、なにを食べようかとあれこれ思案しているうちに寝入ってしまい、透析の結果を見ると、やはり血糖値が危険水位近くまでいっている。この低血糖を克服するには至急食べなければならない。さて、何処でなにを食べるか、楽しい小さな旅が始まる。昨日入ったのは「なか卯」、390円の掻き揚げウドンを頼んだ。きょうは腹の足しになればいいや、寒いからウドンにしようという軽い気持ちだった。ところが「なんということでしょう」。熱々のつゆに、なんと揚げたてのかき揚げがのっている。これを見ただけでも感激なのに、そのうまいことといったら、どう表現したらいいだろう。

食べながら来週のスケジュールは決まったね。来週の透析日は、3日とも、ここで掻き揚げウドンを食べるという強い決意である。ここは別格としても、かねてより挑戦をもくろんでいた「ココイチ」のカツカレー、1000円近く取られたけど、期待通り、揚げたてのカツがジュウジュウと音を立てているカレーなんて、初めて食べたね。タダ、ちょっと重すぎるので、頻繁に通うというわけにはいかないね。

大好きな冷やし中華も3軒の中華料理店を食べ歩いた。細かく切ったチャーシュウ、ハム、錦糸卵、キュウリ、トマト、シナチク、ワラビ、紅ショウガがたっぷり乗った店のが、すべてに於いて群を抜いており、酢の強いタレとともに、エセ評論家の心を捕らえた。以後2回も通い、冷やし中華に舌鼓を打っている。次はギョウザ行脚をするつもり、少なくとも専門店を含めて10軒はあるから、楽しみである。

透析は糖尿と違ってカロリー制限がないから嬉しいね。適度に食べて、水分をホドホドに取る、出来るだけ塩分を少なくするという約束事を守ればいいんだから、気楽だね。余分に取ったら、透析できつい仕置き、つまり余分な水抜きを受けるけどね。とにかく、いまは透析生活を楽しんでいるのは事実だ。毎日回ってくる医師の懇切丁寧な診察を受け、美人の看護師に親切にかしずかれ、イヤホンで大音量の交響曲を聴く。時にはテレビを見たりしながら、ウトウトするなんて、正に天国にいる気分だ。いまでは透析に通うのが義務というより喜びとなっている。