エセすき焼き

ヒマワリ

フト気がついたのだが、日の暮れるのが早くなったね。まだ6時過ぎだというのに、西の空は茜色に燃え上がり、辺りはすっかり暗くなっている。暴虐非道な太陽の挑発にも臆することなく、地球はいつもと同じように季節の変化を演出しているらしい。水遣りを済ませたせいもあってか、吹き抜ける風は爽やかで快い。いままで気にもしなかった虫の声も涼しげに聞こえてくる。ま、ここまでは秋来るを実感させてくれるのだが、これからがよろしくない。

夜半になればなるほど、東京はヒートアイランドの影響で、輻射熱がいや増すのだ。爽やかだった風は、生暖かい風に変わり、気温は上昇する。つまり夜になっても気温はさほど下がらず、熱帯夜が連日のように続く。なんでも昨日か一昨日は48日目の熱帯夜だったとか。昼間エアコンをつけてないのに、10時過ぎにエアコンに手を伸ばすなんて、本末転倒もいいところだ。

吉野家はきょう9月7日、“戦略新商品”として「牛鍋丼」を発売した。牛鍋丼は、牛肉、タマネギ、豆腐、しらたきを甘辛く煮込んでごはんにかけたもの。「明治・大正時代に、牛肉や野菜、豆腐などを甘辛く煮込んだ『牛鍋』の具をごはんに乗せたのが、牛丼の始まり。『牛鍋丼』はその原点に立ち返った“復刻版”商品」だという。

以下取材者の感想<まず運ばれて来たときの印象は、「ちょっと小さい気がする」。直径が牛丼より3ミリ短い専用のどんぶりを使っているという。見た目は牛丼に似ているが、よく見ると豆腐としらたきが目に付く(特にしらたきが幅を利かせている)。牛肉の量は52gと牛丼(67g)より少なく、ごはんも230gと牛丼(260g)より少ない>。

<「牛肉の代わりにしらたきを食べている」と思うと悲しくなるが、「これこそ牛丼の原点!」と、その歴史を噛みしめるのもよい。また、肉は薄いものの、手ごろな価格ですきやき丼が食べられると考えれば、お得な気もする(生玉子を加えても350円)。「昼食は300円前後で済ませたい」と、牛丼ばかり食べている人には新味のある選択肢になるだろう>。

まあ、色んな考え方はあるだろうが、コチトラとしては有り難い設定だ。なにせ、280円で曲がりなりにもスキヤキが食べられるんだから。牛肉と玉葱オンリーの牛丼は確かに物足りなかった。スキヤキの基本はやはりシラタキなり豆腐が入っていなけりゃ飛車角落ちとなる。また飯の量が減っているのも好感が持てる。丼にご飯を残して立ち去るのは、どうも心に禍根が残っていたからね。なにせ、ご飯粒一つ残さないような生活体験が長かったからね。