◆飽きちゃった

お台場の納涼船(朝日新聞より)

透析のお世話になると決まったとき、真っ先に買ったのが、最新のナノーポッドだった。週3回3時間の時間を過ごすにはこれしかないと思ったのである。テレビを見ることも可能だったが、当時白内障が進んでいて、ちょっと離れるとよく見えない、挙句の果て目がやたらと疲れるという現象に直面していたから、選択肢には全く入っていなかった。

銀座天賞堂で買い求めたCD10枚と、アマゾンで買い集めたCD5枚、図書館の在庫品が音源のすべてだった。碌すっぽ説明書も読まず、いつもの悪い癖で、熱中すると他のことが目に入らない。気がつくと、数日間で延べ150曲が勢揃いしていた。よくよく考えれば、そんなにたくさんの曲が入るはずないのに。このカラクリは後でアップル社の策謀だったのが分かったんだけど、それは後に置いておくとして。

曲目は殆どが交響曲、それに、幾つかのレクイエム、ビバルデイの四季など。交響曲ブルックナーの4,4,5,6,7,7、8,9番、マーラーの5,5、6,7,8番、ブラームスの1,2,3,4番、ベートーベンの3,7,8番、フランク、チャイ様の4,5,6番、プロコフィエフの古典交響曲、シベリュースの2番、ショスタコの5番、ドボルザークの8,9番、ムソルグスキー展覧会の絵」、ガーシュイン「パリのアメリカ人」、ワグナーの序曲集、歌劇合唱曲集、歌劇アリア集、「アダージョカラヤン」などなど。

とても150曲なんかなるはずがないんだが、ここで先に述べたアップル社の陰謀が露見する。アップルから曲を購入する場合、まずパソコンに「アイ・チューン」というソフトを導入(さすがにタダだったけど)、ここに音源をインプットして、アイ・パッドに送ると言う形式になる。従って、すべての仕切は「アイ・チューン」経由と成る仕組みで、アイ・チューンから曲を購入するたんび、1曲いくらという具合に課金される。クラシックの場合、曲が長いので、交響曲の場合は、第1楽章いくら、第2楽章いくらと、こまぎれにしてある。(以下続く)