◆花菖蒲から紫陽花へ

ガクアジサイ

一頃、ここは不良のたまり場ともなり、深夜ともなると、オートバイを持ち寄ったガキ連中が、ここみよがしとばかり、エンジンを空ぶかしし大音響を轟ろかし、一方通行を逆走したり、大声でしゃべったり、いなくなった後はたばこの吸い殻や食べかす・空き瓶がとっちらかされているという惨状だった。一階裏口の車だまりはそれなりに花壇もしつらえてはいたのだが。

ここが全く一変したのだ。花壇には人の手が加えられ、さまざまな花が植えられ、決して高価な物はないものの、いつも七色以上の明るい光りが周囲を照らしている。荒れ果てていた花壇ががらりと変わると、まず第一に不良の溜まり場が雲散霧氷し、空き缶や吸い殻のボイ捨てがなくなった。日々の丹精が如実に表れ、季節ごとにきちんと花が咲く。

いまは、花壇の真ん中に植えられたユリが香り高く咲いている。ここのガクアジサイは周囲より遅れてはいるものの、漸くつぼみを付けだした。ガザニア、パンジービオラツキミソウ、すでに盛りを過ぎたような花たちも、喜々としてハナビラを広げている。ここの花園では季節感こそないけれど、雑多なてんこ盛りが花たちに勢いを付け、我が世の春を謳歌しているのだ。無償奉仕している人たちに感謝、感謝。

時は移ろい、いまはハナショウブ真っ盛りのようだ。花菖蒲は泥田じゃなくちゃ生育しないから、見るためには特殊な場所に行かなくてはならない。明治神宮、後楽園、植物園、浜離宮清澄庭園など限られた場所で、しかも狭い場所で作られているから、混雑するし、近寄れないし、自由自在に写真を写すわけにはいかない。そんなわけで、今年はスポイル、陸地で育つジャーマンアイリスカキツバタを探すしかない。ただし、こっちの方が探すのが大変かもしれない。

そして、梅雨とともにアジサイの出番となる。すでに早いところではガクアジサイが咲き始め、西洋アジサイも色づき始めている。最近アジサイへの楽しみがちょっと変わってきた。ガクアジサイのガクが色あせてから咲き出すアジサイの小さな花の接写である。これがとっても可愛いのだが、如何せん小さすぎてうまく撮るのが非常に難しい。さーて今年はどうなるか、楽しみではある。