◆地獄からの帰還

ラナンキュラス

待ちに待った百花繚乱、風薫る5月だというのに、検査入院という名目で、大病院に幽閉され、さんざ検査のたらい回しの挙げ句、宣言されたのは最悪の選択、腎不全のため週3回を透析受けるという地獄への一里塚だった。3週間にわたって、こんな不味い物をよく食えるなあっていう極限状態に追い込まれ、食べたいものをバランスよく食べたいなら透析生活に入りなさいと言う医師のご宣択。飢餓状況に追い込まれ否応無しの選択となった。

この宣告を受託した翌朝の朝食の豪華なこと、3週間ぶりに味わった味のある食事のおいしさ、ボリュームに、餓鬼状態だった身体はたちまち反応してしまい、一種の詐欺的魔術によって、ルビコンの川を渡ってしまったのである。賽は投げられた!!いまさらブツクサ言っても始まらない。透析生活へ否応なく投げ込まれてしまった。家から40分かかる病院へ透析を受けるため、週3回通うなんて地獄の沙汰だと思っていたのが、まあ、幸いなことに、自宅からバスで2分足らずの豊洲駅前の腎クリニックへの転院が可能となった。

一般的に透析受託者の生存率は約10年、我が身の置き換えてみれば、まあ、84才まで生きられるということを保証されたわけで、後顧の憂いなく、あと10年生きられる訳だから、有り難いといわざるを得ないね。そのためには週3回3時間の透析を受けることになるわけだが、その空白な時間をどう過ごしていくかが当面の大きな課題となった。約1ヶ月ぶりのご帰還となったわけだが、世の中の騒がしいこと、日の光の眩しいこと、足腰の弱っている我が身には、いささか辛い復帰第一日だった。