◆花冷え

花見舟

「あいたたた、のた」、2日続けて外出したツケが早速現れた。寝転がってテレビを見ていて、身体の向きを変えようとしたら、右脹ら脛に激痛が走った。思わずイテテって飛び上がったもんだが、その途端、今度は左足親指当りに激痛が走った。思わぬダブルパンチにのたうち回ったが、膝を曲げたり、足の指を立てたり、思いつく限りの応急措置をしたら、なんとか直ってしまった。最近手の指がつるなんてことはよくあったけど、両足を同時に襲うとは神も仏もないもんだ。

花冷えといえば聞こえがいいけど、きのうは寒かったね。サクラの開花宣言が出てから、2日続きの雨模様、漸く上がったので、どの程度開花したのか気になってしょうがなかった。で、出掛けてきたわけだが、あんに相違してまだ1分咲き程度、ところが、江東区では和船を繰り出して、船着き場は押し合いへし合いの満員状況、北風が吹き荒ぶ大横川を行ったり来たり、花も咲いていないのにご苦労なこった。気の早い連中は前夜の雨で濡れている地べたに大きなシートを敷いて、お花見見物、この寒いのに、なんともおめでたい話だよなあ。

しかしサクラの開花宣言なんか出ちゃうと、ほんと、気が気じゃなくなるね。1年で最も華やかなビックイベントだから、足が痛いとか、下痢気味だとか、足がつるとか、オカチメンコだなどと、ご託を並べる前に家を飛び出したくなっちゃうね。だけど、ホームグランドである新宿御苑にはそうそう行けないだろうなあ。あの広い敷地を歩き回るのはちょっと自信がないね。サブグランドである小石川植物園は到底無理だろうな。あの急坂を往復するなんて大それたことはゼッタイできないだろうし。

「花冷えや剥落しるき襖(ふすま)の絵/水原秋桜子
「花冷えの闇にあらはれ篝守/ 高野素十」

句面で見ると、「花冷え」とは名言のように思えるが、桜の花が少し開いた時に必ず寒くなるなんて、サイテイ、優雅でもなんでもない。梅の花が咲いた時に寒くなっても、別になんにも感じなかったのに、サクラだと、どうしてこうもショッキングなんだろうか。今年は不安定な天気だから、花の開くのが一時停止するのは許せるとして、また暖かくなって満開になると、土砂降りの雨で散ってしまいそうだ。