◆なげき節

カンヒザクラ

早くも今年、桃の節句を迎えてしまった。歳月はいつのまにかというか、当たり前のように日を刻み、ドンドンと過ぎ去っていく。間もなく4月、74才を迎えてしまう。74才?我ながら首をかしげてしまう年齢である。待望の春がやってくるのは大歓迎だが、それとともに、また年を取るというのはなんとも有難迷惑だ。ただ、年を取るだけなら、文句はないが、身体のあちこちに潜んでいたギグシャグが当たり前のように顔を出してくる。

脹ら脛の痛みが遠のいたと思ったら、整形外科医から処方された、痛み軽減の為に張った「経皮鎮痛消炎」がもとで皮膚にかぶれができる。あまり痒いので無意識のうちにかいていると、身体中に傷が出来て、これまた痒くてしょうがない。内科医で処方されたかゆみ止めを塗って、どうやら一安心と思ったら、今度は右手人差し指がつる。なんとかごまかしていたら、今度は足の指もつる。起き上がる際に腰も痛くなっている。要するに身体のあちこちにガタが来ていて、ギーコギーコと不満たらたらなんである。その不満を薬なんかで解消しようたってそうはいかないよねえ。74年も頑張ってきた身体だもん、そのきしみはそう簡単にはとっれないだろう。

久し振りに出歩いてみたら、自然界はとっくに春を迎えていた。ずっと啓蟄の状態で縮こまっていたから、気がつくはずもないんだけどね。カワズザクラの開花に間に合ったのは正直嬉しかった。あの濃い目のピンク、ちょっと毒々しさはあるけれど、やはりウメに比べると派手目だね。そして、オオカンザクラ、やはりサクラの本道を行く正統派、やっとサクラに出会えたってホットさせられた。まだ三分咲きだったけど、華やかさは群を抜いている。

シラウメが咲き誇っている地べたに点々と青い光りが点滅している。なんだ、オオイヌノフグリじゃあないか。小指の先ほどの小さい花だが、一日花。この日一日を精一杯生きようと頑張っている。精緻に考えられた青と白の縞模様、光り輝く白と黒のおしべとめしべ。いつも思うんだけど、愛しいよな、このシャレ模様が。そして、永遠に消え去ることのない奇妙奇天烈な命名、偏見というしかないふざけた名前だ。見るたんび、腹の虫が治まらなくなる。それにしても小さい。この花を正確に写すのは、まず至難の業と言えるね。