◆りょうま

銀座八丁

龍馬が行く」は司馬遼太郎の原作で、龍馬の生涯を闊達に描いた名作だ。司馬史観という物がまだ確立されてなかった頃の作品なので、こうるさくなく新鮮味溢れる傑作だった。さて、NHKが自信を持って送り出した日曜日の大河ドラマ「竜馬伝」が好調なスタートを切ったようだ。茫洋としてつかみ所のない龍馬を福山雅治は好演している。脇を固める香川照之の薄汚さには辟易するところもあるが、画面構成が新鮮で、スピーデイな展開と相まって、今後の展開が楽しみだ。

NHKの大河ドラマをじっと腰を据えて見るのは久し振りで、先代尾上松緑が主演した「花の生涯」、緒形拳主演の「太閤記」以来のことである。マンネリ状態が長かったので、日曜8時台はずっと別のチャンネルを見ていた。最近のNHKはとにかくせこいから、日曜日のこの大河がなんと3回も放映されるっていうの知っていた?つまりBS−hiで午後6時から、BS−2で午後10時から、ご丁寧にも放映しているのだ。だから、8時台に他に見たいテレビ番組があれば、早く見ちゃうか、遅く見るかという選択肢がある。

龍馬伝」は一般的にも好評のようで、東京新聞でその評価が次のように論議されていた。「トップとして紹介するにふさわしい出来」との声がある一方、「民放の作品が不作なので」という消極的な理由で選んだ部員もいたようだ。

A 映像の質感とか、光と影の案配とか、今までの大河とは違う異質な作品。“定番”に挑戦する姿勢を買った。

D 深みのある映像が撮影できるという「プログレッシブカメラ」を、大河で初めて使っているそうだよ。

B 映画を見ているような印象なのはそのせいか。主演の福山雅治はやはり華があるね。

C 柔軟でおっとりしている“草食系竜馬”が新鮮。竜馬といえば男くさい、豪快、暑苦しい。しょせん男がほれる男でしょ、と思っていたが、これなら女性も共感できる。

B 香川照之らがしっかり脇を支えているのも好発進につながったか。

E 香川の存在感はさすがだけれど、「坂の上の雲」でも似たようなポジションを演じていて、ダブり感は気になる。

D 内容は別として、番組宣伝の多さにはへきえきした。見てもらいたいという気持ちは分かるけれど、度が過ぎれば不快に感じるものなのに。