◆転機

日比谷公園

10数年お世話になった豊洲病院を転院することになった。3度の入院を経験したり、月に一度の検診など、まるで便利なホームドクターのようなおつきあいだった。これまで担当医だった内科の先生が開業することになり、現在の症状では、後任の医師では手に負えないだろうと、専門医の居る他の病院を紹介してくれたのである。

確かにマンネリを感じてはいた。この10数年間、激増する患者数の多さに医師が忙殺されて、なおざりな診察しか受けられないことには不満があった。しかもコチトラのように複合疾患を抱えている患者には、糖尿病専科の担当医には荷が重いんじゃあないかって気もしていた。喘息系の症状を発症したときも、適切な治療が受けられなかったし、1年ほど前から、腎疾患の数値を表すクレアチン値が危険水域の15を超え急激に悪化した時にも、専門医のいない悲しさで、適切な治療が受けられなかった。

渡りに船とばかり、この転院話に飛びついた。徒歩10分で行ける豊洲病院は全く便利、今度紹介された順天堂病院はバスと地下鉄を乗り換えて通う不便さはあっても、多彩な専門医がいる新設の総合病院だというのが魅力だ。新たな門出には若干不安もあったけど、新天地で完全治療を受けられるという魅力の方が勝ったね。行ってみて驚いた、まさに大病院、数年前、この辺りをうろついていた頃には、影も形もなかった。順天堂江東高齢者医療センターという名前がちょっとひっかかったが、考えるまでもなく高齢者真っ直中っていうことだもん、文句は言えないよなあ。

担当が女医さんというのも気に入ったが、完全予約制なので、待ち時間が極端に少ないのも嬉しかったね。なにせ、豊洲病院では予約していても、2時間待ちは当たり前、ヘたすりゃ3時間なんてこともあった。慣れ親しんでいたから、採血を済ますと、受付に2時間後に戻りますって告げて、コンビニで弁当を買い、海辺に座ってゆっくり昼食をとり、図書館で昼寝するなんて芸当も当たり前だったが。

どうやら透析一歩前というほど、腎臓が弱っているらしい。むろん糖尿病から来たものだが、血糖値は注射を打ってはいるものの正常値より低い状態だ。いままでは、エネルギーが大敵だったが、今度は蛋白質と塩分の過剰摂取との闘いだ。毎日、3食の数値を記録し、インプットしている。厄介な仕事だが、何せ閑人、嬉々として取り組んでいる。数値計算では、家庭料理のさじ加減が一番厄介、冷凍食品やコンビニの弁当類はきちんと数値が表示されているから便利なんだけど、蛋白質や塩分が高めだから、そうそう気楽には扱えないのが苦しいね。