◆創作四文字熟語

月島

住友生命保険は10日、2009年を漢字4字で表現した「創作四字熟語」の優秀・入選作品を発表した。毎年鮮度が落ちて、つまらなくなっている傾向を感じるが、これもマンネリの一種といえるかも。朝日新聞のコラム「天声人語」が例年、この四文字熟語を元に世相を診断しているので、今年も いつものようにあやかってご登場願おう。

有権者の抜きはなった刃が日本の政治を袈裟懸けにした。これぞ「一票両断」。住友生命が募った年の瀬恒例の創作四字熟語に、一年を振り返る名作迷作が多く寄せられた。寒空の炊き出しで今年は明けた。派遣切りや雇い止めで仕事を失った人々が「断雇反対」を叫んだ。夏の選挙で永田町はひっくり返る。「政権好待」が実現したが、新政権の「鳩世済民」の手腕はいかに。

新型インフルエンザが上陸すると、店頭からマスクが消えた。日本中が「顔面総白」となって、来訪の外国人も驚いた。うつされてはたまらないと、通勤電車も人ごみも「一咳触発」でピリピリする。予防したくてもワクチンは足りず、切歯扼腕ならぬ「接種待腕」がなお続く。

高速道路の「千円」は功罪が半ばした。喜々として「遠奔千走」する人もあれば、「千車万列」の大渋滞にプロの運転手は泣かされ、客をとられた鉄道も船も泣いた。暦の魔術で初の「秋休五日」(シルバーウイーク)となったものの、どこもかしこもやはり渋滞。

「司民参加」の裁判員制度が始まり、「判官判民」の裁きに市民感覚がにじみ出た。白昼の天体ショーは「皆祈日食」で晴天を待ったが、悪石島は無情の雨。米国では旅客機が川に奇跡の不時着。「一機冬川」の機長の離れ業が喝采を浴びた。この人を忘れてはいけない。石川遼君めあての「一目遼戦」のギャラリーでゴルフ界はわいた。国宝の阿修羅像展も長蛇の盛況となり、多くの人が「阿美共感」した。ゆく年に、忘れ得ぬあのまなざしが、ふと胸をよぎる>

今年の漢字には「新」が選ばれた。コチトラとしては「不」を選びたかったね。不の最大は鳩山内閣への不安である。百花斉放といえば聞こえがいいけど、党内不一致が表面化し、鳩山首相の優柔不断さ、統率力のなさが一挙に暴露した。不景気を克服するためには大幅な予算出動が必要なのに、マニュヘストにこだわり、予算圧縮の方向に舵を取ってしまった。予算を削る本当の目的だった、天下り法人の無駄遣い撤廃は、なんとなくうやむやになってしまった。尽きかけた命運をどう挽回できるかが鳩山内閣の最大の課題だ。