◆コーラ

トリトン

進駐軍の影響もあって、ガムをクチャクチャかみ、ホットドッグをパクパク食べ、コーラをガム飲みする。そんな姿に憧れた時代もあった。ガムは置いておくとして、コカコーラは至る所で売られていたから、毎日中毒患者のように飲みまくった。サラリーマン時代、喫茶店で、お客や仲間と談笑する機会が多かったが、コーヒーが嫌いだったから、飲むものといえばコーラ、それもペプシだったら飲まず、コカコーラオンリーだった。炭酸飲料だから、日に何度も喫茶店通いをすると、ゲップに悩まされた。

いまでもコーラは常備品として冷蔵庫に切らさないでいる。ただ、皮肉なことに、その目的はあくまでも薬用としてである。コーラは冷たくても甘さを感じられるように、紅茶などを飲むときに使用する砂糖が5倍ほど混入している。つまり、エネルギーと糖度が高い。通常コチトラのような糖尿病患者には最悪の代物である。ところが物は使いよう、低血糖に陥ったとき、手近にある物の中で一番即効力を発揮してくれるのだ。ブドウ糖や砂糖水など、色々と試したが、コーラが一番即効性があり、医師もそれを保証してくれた。最近は血糖値が安定しているから、嗜好品としてタマに飲むこともあるが、薬として飲むときより数倍美味しく感じるね。

ホットドッグは中々いい店がなく、やはりちょっと値は張るが、東京ドーム周辺の売店が一番うまかった。週末、後楽園場外馬券場で一日過ごしていたとき、ホットドッグを2本、コーラを1本がランチタイムのメニューだった。出来上がったホットドッグにピクルスをたっぷりかけ、その上にトマトケチャップとカラシをたっぷりつける。ここらの売店では、これらが付け放題となっていたのが嬉しくて、けっこう大名気分に浸ったものだった。

競馬をやらなくなってからは、もっぱら「ドトールコーヒー」のドッグを愛用していた。パリっとしたパンにソーセージが挟まれただけの代物だが、食感が良く、食べやすい。マックやファースト・キッチンのドッグはパンが具材でびしょ濡れって感じで、そのベタっとした悪い感触が口に残り、以来絶対食べないことにしている。ある時、豊かな気分を味いたくて、わざわざ後楽園場外を訪れたが、すっかり様変わりしていた。ピクルスもカラシもケチャップもすべてが小さな袋詰めとなっていて、いくら持ってきても自由とはいえ、とっても世知辛さを感じたね。ささやかな楽しみも消えてしまって残念至極。