◆とんぼ

銀座・天賞堂前

最近、とんぼの姿をめったに見なくなったね。たまにアカトンボにお目にかかるのが珍しい情景と成ってしまったのは情けない。むかしはオニヤンマやギンヤンマが、モチザオを持ったこども達をあざ笑うように堂々と飛び回っていた。シオカラやムギワラなんかは群がって飛んでおり、こども達は追いかけもしなかった。あのトンボたちは一体どこへ行ってしまったんだろう。

<シオカラは体長約5cm、雄の体は灰褐色で白粉におおわれる。雌は黄色で腹背面に二本の黒条があり、ムギワラトンボと呼ばれる。春から秋にかけて平地に多い。日本全土のほか、台湾・中国にも分布>。以上、ウイキペデイアからの情報だが、この年になって初めて知ったこと、シオカラとムギワラって、同じトンボの雄雌だったんだ。これはまさに驚天動地、驚き桃の木山椒の木だったね。子供の頃、ムギワラの方が数が少ないなって気はしてたんだが。シオカラという名前は、成熟したオスは体から塩を吹いたような体色になるのが名前の由来だそうだ。

さて、アカトンボに比べて、ほかのトンボの姿がめっきり減ってしまったことについてのコラムを見つけた。<アカトンボ、正式の名前はアキアカネアキアカネの最も好む環境は水田地帯です。アキアカネは初夏に成虫になると餌の多い山に移動し、秋になると里に下りてきて水田などに卵を産みます。卵はそのまま越冬し春に幼虫(ヤゴ)になります。

シオカラトンボは初夏に成虫になり、しばらくして成熟すると卵を産みます。卵はその年に幼虫(ヤゴ)になり幼虫で越冬します。水田の管理状況にもよりますが、アキアカネは特に日本の水田のサイクルによく適合している生活サイクルだそうです。これに対し、シオカラトンボは幼虫の時期が長かったり、夏にあまり移動をしなかったりといった具合に水田のサイクルに微妙にあわなかったり、また、より都会っぽい環境にも産卵する傾向が強かったりするために減ったのではないかといわれております>

なるほどねえ、シオカラやムギワラは、元々都会派のトンボたちだったんだ。高度成長のあおりを受けて、都会から田畑がドンドン減ってしまったことが原因だったんだ。さもありなん、田畑だけではなく雑木林や里山なんかもめっきり減ってしまったし、空地があれば物を建て、人間そのものまでがコンクリート・ジャングルに押し込められている現状だもんなあ。

高校時代、もっともお世話になったのはグラウンドをならす木製トンボだった。ブランド名なんて気にしなかったけど、多分トンボ鉛筆やトンボハーモニカにもお世話になったに違いない。いつだって身近にあって気楽に使っていたもんなあ。こども達に縁のある企業名にトンボの名前が冠せられるほど、トンボは身近な存在だったんだ。いまの都会のこども達は、標本で見るだけのトンボ、トンボってなに?ってなことになってるんだろうね。