◆号外

スプレーギク

大リーグの第105回ワールドシリーズは4日、当地で第6戦があり、ヤンキースフィリーズを7―3で下し、通算4勝2敗で9年ぶり27度目の優勝を果たした。松井秀喜は2回に先制の2点本塁打を放つと3、5回にもそれぞれ2点適時打。1試合6打点のシリーズのタイ記録をつくり、日本選手初のシリーズ最優秀選手(MVP)になった。松井は03年の大リーグ移籍後、自身初のワールドチャンピオンに輝いた。

その瞬間思わず、涙が出てしまったね。ヤンキーズがワールド・シリーズチャンピオンとなった瞬間である。ワールドシリーズ第6戦で、なんと、6点を松井秀喜がたたき出したのである。このシリーズ、代打ホームランを含む3ホームラン、8打点と文句ない成績をあげ、栄えあるMVPを獲得した。歓喜に湧くチームメイトと、だれかれなく抱き合っている姿を見ていると、やっとヤンキーズの一員になったなって確信した。

ここ数年、怪我に悩まされパットしない存在だったが、黙々と努力を重ね、ヤンキーズとの契約4年目、最後の年に、大舞台で花が開いたのだ。イチローと違って、派手さとか自己主張の目立たない松井だが、常に最下位争いをしているチームに所属し、勝手気ままに打ちまくっているイチローとは違って、常勝を期待されている名門チームで主力打者を張る厳しさは計り知れないものがあったに違いない。イチローがいくらシャチホコだっても絶対獲れない勲章だ。

闘志をむき出しにして記録を追求する動のイチローに対して、闘志を内に閉じ込め、あくまで謙虚に野球道をひたむきに追求する静の松井。そうした地味な一面を捕らえて、人はひたむきさがない、やる気がないと批判するが、確かに、これまでの実績ではイチローに大きく後れを取った。だが、敢ていわせてもらえば、スポーツの世界といえども、やはり人間性が問われるとすれば、松井を支持するね。求道者のようでいて、子犬のようにキャンキャン吠えもする、イチローは小なる者、対する松井は大人の風格を備えた者。これまで小が大を飲み込んでいただけに、今回のMVP受賞は大いに格を上げただけでなく、大いに溜飲を下げたという思いも強い。

ただ、蛇足のようだけど、松井が未だに英語をちゃんとしゃべれないというのはいかがなものか。MVPのトロフィーを手にし、テレビ局のインタビューを受けていたが、4年も米国暮らしをしているんだから、せめて通訳なしに対応して欲しかった。韓国人や台湾人プレーヤーが堂々と英語でインタビューに応じているのを見るにつけ、その思いは強いね。