◆台風一過

築地方面

いやあ!参ったね。今年始めて台風が本土上陸し、関東地方も縦断するという、まさにその時間に、よりもよって月1回の定期検診日に当たるなんて、ほんと、全くついていないよね。朝のニュースでは、お台場や築地などでの凄まじい雨や風の現状を映し出している。だけど、ベランダで様子を見ていると、風は強いけど、雨が降るどころか、太陽が顔をのぞかせている。はて面妖なと思いつつも、厳重な雨支度をして家を出た。

かなりの向かい風だから歩くのも大変だからと、僅かの距離だけどバスに乗ることにした。ところがバスはひっきりなしに来るものの、超満員で乗車ドアが開かない。4台目でようやく降車ドアから乗ってくれとのアナウンスがあり、漸くバスにありついた。降車ドアから乗るのも、次のバスストップで降りるんだから、何かと好都合、それに運転手に申し訳ないという気持ちも持たないですむ。

バスを降りてから病院へたどり着く、僅か200mばかりが難渋したね。普段でも高層ビルが立ち並んでいて突風がすごいのに、台風通過の直後だから、向かい風の激しさといったら尋常ではない。腰を落としながらソロリソロリと歩いて、なんとか病院にたどり着いた。いつも人で溢れ返っている内科の待合室もガラガラ、予約していても1時間半待ちなんてザラだから、食事も飲み物も用意していたのに、30分もしないうちに、突然名前を呼ばれて正直飛び上がってしまったね。ウソだろうっていう気持ちと、ラッキーという気持ちが半々だった。

診察が終わり、8階の食堂で、たった一人きりの朝食をしたためながら、眼下の状況を眺めた。遠く霞んで見える、お台場や築地方面には依然暗雲が立ちこめており、モノレールがいつもよりゆっくりと、怯えたように走っていた。豊洲の空は真っ青に澄み渡っており、こんなのってあり?って感じだった。ナースさんの話では、出勤時間の8時半頃の豊洲交差点は凄まじかったらしい。交差点を青信号では渡りきれず、安全地帯に取り残され、そこで受けた雨と風の集中砲火の凄まじさは、生まれて初めての経験だったという。

とまれかくあれ、あっという間に台風は通過してしまったが、終わってみれば、人間なんて勝手なもの、なんだよ、大騒ぎしたのに、こんな程度かよって思いもしてくる。猛烈な雨が降って、ある程度浸水して、周囲を囲む運河が溢れんばかりになるなんて状況を予測し、覚悟してたのに、がっかりさせられた、なんていったら、お天道様に叱られるかな。いい年こいてなにいってるんだって、お尻ペンペンされちゃうかもね。