◆付け足しことば

現代美術館

付け足し言葉といわれても、ちょっとピンと来ないかもしれない。付け足し言葉とは、他人が何かを言った時に、返答にシャレなどを「付け足し」て、ことばのリズムや語感を楽しむもの。喩えはちょっと違うけど、何かしくじったときに人に見られ、「とんだところに北村大膳」、同好の士の出現に、「待ってました大統領」、嬉しければ、「感謝感激雨霰」、畏れ入った時は、「畏れ入谷の鬼子母神」と相成る次第でござる。こんなふざけた言辞を吐いちゃ、「急須れば土瓶」「チャンチャラ可笑しい」くて、「お天道様に申し訳ない」かな。

「驚き桃の木山椒の木」、「おっと合点承知之助」、「その手は桑名の焼蛤」、「何か用か九日十日」、「何が南京唐茄子かぼちゃ」、「磯のアワビの片思い」、「来たか長さん待ってたホイ」、「当たり前田のクラッカー」、「あたりき車力よ車引き」、「蟻が鯛なら芋虫や鯨」、「びっくり下谷の広徳寺」、「何だ神田の大明神」、なんてのも使っちゃうね。

NHK教育の「にほんごであそぼ」。子供番組だが、けっこう大人でも楽しめる番組の一つだ。そこでたまに流れる「たまげた駒下駄東下駄」。付け足し言葉がたくさん入っている歌なんだが、懐かしいくて嬉しくなる。寅さんの売り口上を聞いているようで、とても楽しい。廃れている付け足し言葉の味を子供に音感教育で教えようとする「意図はいと良し」と思うのだが、「冗談コロコロ」かな。せっかくなので、「たまげた駒下駄東下駄」の歌詞を。

これはこうでありますか  そうで有馬の水天宮
これはどうりでわかったぞ 道理でかぼちゃがとうなすだ
これはなかなか強敵だ   敵もさる者ひっかくもの
これはわたしが悪かった  ごめんそうめんゆでたらにゅうめん 
(そいつぁ)たまげた駒下駄東下駄
そんなことなら許してよ  堪忍信濃善光寺
そんなことしちゃ汚いよ  北が無ければ日本三角
そんなんことしちゃいけないよ 池がなければ弁天様困る
そんなことしちゃ撥当たる 撥が当たれば太鼓で受ける
(そいつぁ)たまげた駒下駄東下駄
あれはほんとにあきれちゃう 呆れ蛙の包かむり
あれはやっぱり厄介だ   厄介もっかい蜆っ貝 
あれはほんとにしょうがない 生姜なければ茗荷がある
あれはまったくいい気味だ  いい気味山椒に実がなった
(そいつぁ)たまげた駒下駄東下駄 たまげた駒下駄東下駄