◆新興勢力

秋の空

地理といえば漢字とともに得意分野の一つだが、世界地理ともなると、どうしても偏ってしまって、国名、首都名などと偏ってしまい、世界遺産の名前や場所ともなると、ちっと荷が重くなる。しかし、「セイロン」じゃあなかった「スリランカ」の首都が「コロンボ」じゃなかった「スリジャ ヤワルダナ プラコッテ」、ときては何度聞いても覚えられないし、「ビルマ」じゃあなかった「ミャンマー」の首都が「ラングーン」じゃあなかった「ヤンゴン」から「ネビトー」、またおかしな名前に変わったと聞いても、覚えようとする気力もない。

不思議なことに、アメリカ50州の名前は難儀しながらも、何とか全部書けるし、アフリカの国名にもある程度自信はあった。早くからアメリカ映画に親しんできた影響も大きい。「オクラホマ・キッド」とか「ネブラスカ魂」とか「アリゾナ無情」など、西部劇ではそのものずばりの題名もあった。でも改めて世界地図を眺めていると、けっこう新しい国が生まれているのに気付く始末だ。

新聞紙上でけっこうよくお目にかかるのが、海賊ですっかり有名になった「ソマリア」、人種紛争が続く「スーダン」、長距離ランナーがひしめく「エチオピア」「ケニア」「タンザニア」「エルトリア」など、アフリカ北部の国々だ。最近サッカーのイングランド・プレミアリーグなどで大活躍している黒人選手の出身地は「ナイジェリア」「カメルーン」「トーゴ」「コートジボワール」「セネガル」などアフリカ南岸諸国だ。チェルシーのFWドロクバはコートジオバール代表だし、DFミケルはナイジェリア代表、マンチェスター・シテイのアデバイヨールはトーゴ代表とアフリカの群雄が割拠している。

ギニア湾に浮かぶ小群島国家「サントメ・プリンシペ」は沖合に石油資源など豊富な鉱物資源が発見されて、一躍世界のスポットライトを浴びた。人口も少なく独裁国ではないから、特需に湧くここの国民には億万長者が輩出している。

アフリカといえば中国というように、アフリカの豊富な鉱物資源を狙って、官民合わせた中国の進出振りが目覚ましい。勇敢なかれらは戦地であろうと、僻地であろうと、いとわず進出し、本国より豊富な労働力を送り込む。その一方で安価な粗悪品を高値で現地人に売りつけ、現地労働者を低賃金でこき使う。その浸透振りは生半可なものではないが、現地人の評判は必ずしも良くない。だが、このまま行けば、アフリカの新興国の鉱物資源は中国の総取りとなりかねない勢いがある。