◆聞き慣れぬ言葉

ムクゲのある風景

今年の夏は梅雨前線が居座り、日本国中、異常天気の影響を受けた。東北・北海道は日照不足で、稔りの秋を迎えられそうもない。中国・九州はゲリラ豪雨の被害を受けた。ゲリラ豪雨の直前には必ず雷を伴う積乱雲の姿が見られた。西日本につめ跡を残した大雨も、入れ代わり立ち代わり、この雲が現れたせいらしい。地元の気象台によると、湿った空気が太平洋高気圧を回り込むように、九州北部の梅雨前線へと流れ込んだという。いわゆる「湿舌」だ。

湿った空気を乗せた風が、対馬海峡あたりで東よりの風とぶつかり、活発な積乱雲が次々にわいた。空の水源を決壊させた雲の連なりは、気象衛星からは先細りの扇状に見える。「にんじん雲」というかわいらしい名とは裏腹に、豪雨、突風と災いの巣である。「舌の上のにんじん」には用心したほうがいい。山口・佐用町の惨禍をを見ると、まさに筆舌を尽す光景だった。あれ!湿絶と筆舌、似ているようだけど、例によって「ひ」と「し」の違いか、いつまで経っても直んないなあ。

厚生労働省は8日、新型の豚インフルエンザワクチンについて接種開始時期や接種方法などの実施案を公表した。費用は全国一律とし、接種者や保護者が原則、実費で負担する方向だという。 従来の季節性インフルエンザとは異なる新顔のインフルエンザは、人が免疫を持たないため、世界的大流行(パンデミック)を起こす恐れがある。新型インフルワクチンに関しては、国産分だけでは供給量が不十分なため、厚労省は輸入を検討中。輸入ワクチンは国産ワクチンと成分が違い、効果を高める免疫補助剤を使うなどしているため、国内で安全性などの確認が必要とされている。

免疫補助剤(アジュバント)はワクチンの効果を高めるため、添加して使用される。もととなるウイルスの量が少ない場合でも、より多くのワクチンを製造することが可能になる。国内でも一部のワクチンで使用されているが、インフルエンザワクチンでは過去に使用経験がない。一般的に副作用が起きる確率が高いと指摘される。

新型の豚インフルエンザには、治療薬タミフルなどが有効だが、他の薬とのみあわせると、異常行動を起こす可能性がある。数年前、インフルエンザにかかり、近くの医院でタミフルを注射してもらったら、朦朧状態に陥り、家の中でひっくり返り、急遽救急車で病院に運ばれ、その病院で深夜に病室を歩き回り、看護師にアルツハイマーと疑われた苦い経験がある。確かにあの時は異常状態に陥っていたことは間違いないだけに、タミフル注射には畏れ入谷の鬼子母神を感じている。