◆駄目

東大正門

「駄目」という言葉の語源、知ってる?この言葉、実は囲碁の勝負に由来する言葉だ。平安時代から親しまれてきた囲碁は陣地を取り合うゲームだから、勝負が進むと、どちらの陣にもならない目が出てくる。その場所を「駄目」と呼んでいたのが転じて、役に立たないという意味になった。この「駄目」と同じように、不断なにげなく使っている言葉もそのルーツをたどってみると、けっこう囲碁に由来する言葉が多いのだ。

「白黒つける」、「岡目八目」、「一目置く」、「八百長」、「上手」、「下手」、「手入れ」、「手違い」、「ケチ」、「死活問題」、「活路を見いだす」、「筋違い」、「布石をうつ」、「定石」、「目算する」、「中押し」、「目算」、「終局」、「手抜き」、「布石」、「捨石」、「段違い」、「先手を打つ」、「後手に回る」、「局面を打開する」、「大局を見る」、「序盤」、「中盤」、「終盤」、「終局」。

「岡目八目」は対局している当事者よりは横で見ている人のほうが冷静で物事を正しく判断できるというような意味で使われる。しかし「そんなことを言ったって、岡目八目だろう」というように傍観者はあくまで傍観者であって、当事者ほどの真剣さはない、という使われ方もする。

「一目置く」は、囲碁では、強さに差がある場合、最初から黒(弱い方)が幾つか石をおいてゲームをすることがあり、いわゆるハンディ戦だ。これを置き碁というが、実際には置き碁はニ目からなのだから、実際の碁では「一目置く」ことは、ありえないのだが。

「駄目を押す」は野球中継などで解説者が「今の得点は駄目押し点でしたね。」などというが、勝負が確実になった後にさらい得点して勝負を決定的にした時などに使う。そもそも「ダメ」とは双方にとって意味のない地点のことをいうんだからね。「中押し」は途中で勝負が付いてギブアップすること。「けじめ」は囲碁用語の「闕(けち)」から来たとする説があり、駄目と同じ意味のようで、源氏物語などには出てくるが、、現在ではあまり聞かな言葉だ。

「結局」囲碁で一局を打ち終わることを「結局」といい、この「結」は終結から、「局」は囲碁の盤を局ということから作られた言葉だという。これも現在は「終局」といっているようだ。「八百長」は、明治時代の実在の人物「八百屋の長兵衛」通称「八百長」さんが、相撲の年寄の伊勢海五太夫さんとの囲碁の手合わせで勝敗が常に五分になるように心がけていたことから、なれあいで勝負することを八百長というようになったといわれている。