◆市いろいろ
<大阪管区気象台によると、兵庫県佐用町では先月9日午後7時40分からの1時間に観測史上最多となる76ミリの雨を観測。この影響で、西日本高速道路は午後8時前から、中国自動車道の山崎(兵庫県宍粟市)―美作(岡山県美作市)間を通行止めにした>。この記事を読んで首をかしげたのは、宍粟市と美作市のことだった。宍粟市はまず聞き慣れない都市名の上、読み方が分からない、美作市は小さな市なのに、旧国名を堂々と使っているという疑問である。
そけで、ムラムラと頭をもたげてきたのが、同じような現象があちこちで起きているだろうという興味である。さっそく調べてみたが、あるはあるは、狭い日本にあるあちこちの県で同じような市名があることが分かった。大きく分類すると、読みにくい市名、旧国名を使っている市、東西南北の一部を使っている市、どこの県にあるのか分からない市、カタカナまたはひらがな名の市の4分類である。その各分類に沿って、これから実例を挙げながら説明することにする。
まず、読みにくい市名から。曽於市、志布志市、神埼市、赤磐市、高梁市、宍粟市、養父市、交野市、新城市、本巣市、東御市、胎内市、匝瑳市、小美玉市、行方市、神栖市、寒河江市、潟上市、登米市、塩竃市。順番に、そお、しぶし、かんざき、あかいわ、たかはし、しそう、やぶ、かたの、あらしろ、もとす、とうみ、たいない、そうさ、おみたま、なめかた、かみす、さがえ、かたがみ、とまい、しおがまと読む。
ついで、図々しくも旧国名をちゃっかり借用した市名、美作市、備前市、伊予市、阿波市、丹波市、淡路市、摂津市、甲賀市、伊賀市、伊勢市、志摩市、清須市、伊豆市、伊豆の国市、飛騨市、甲斐市、甲州市、越前市、加賀市、上越市、下野市、いわき市、むつ市、つがる市。けっこう多いんで驚いたが、いずれも小都市だということに特徴がある。「伊豆市」と「伊豆の国市」とは畏れ入谷の鬼子母神。
東西南北が付せられた市名は、西広島市、香南市、西予市、周南市、雲南市、加東市、泉南市、阪南市、江南市、愛西市、名西市、湖西市、東御市、北杜市、南砺市、西東京市、坂東市、筑西市、南陽市、東根市、仙北市、北秋田市、北斗市、北広島市。
香南市は香川の南、西予市は伊予の西、周南市は周防の南、雲南市は出雲の南、泉南市は和泉の南、阪南市は大阪の南、江南市は遠江の南、愛西市は愛知の西、湖西市は琵琶湖の西、南砺市は砺波の南、坂東市は板東太郎の異名があった利根川の東、筑西市は筑波山の西。因みに、西広島市は広島県広島の西、北広島市は北海道、明治維新で、領地を失った広島藩淺野家の家臣が移住し開墾した町である。