◆オノマトペ

残暑の夕暮れ

ベロンベロンに酔っぱらってしまった。もうグデングデン、足はメロメロ、心臓はドキドキ、息はゼエゼエと上がりっぱなし。歩けばフラフラ、ヨレヨレ、つまずいて、スッテンコロリとひっくり返る。見上げる夜空には星がキラキラ、電柱に寄りかかって、ウツラウツラと船をこぐ。ビュービュー吹きすさぶ木枯らしとワンワンほえる犬の声で目覚めて、トボトボと歩き出した。

上記文章中カタカナで表記した言葉を、オノマトペというらしい。しかもフランス語だそうで、どうやら、こういう「声喩」は万国共通のものらしい。オノマトペ(フランス語: onomatopee)は音声を字句で模倣した修辞技法の一つ。一般的には擬音語・擬声語を指すが、日本語においては擬態語も含まれる。擬音語とは物が発する音、擬声語とは動物が発する声をそれぞれ字句で模倣したものである。

「日本語にオノマトペが多いのは、他の言語に比べて音節、つまり音のかたまりの数が圧倒的に少ないため。アイウエオの50音にガ行などの濁音、パ行の半濁音、ニャなどの拗音を合わせて112しかない。この“貧弱な”音節を補うために、日本人は『イライラ』『ムカムカ』といった、漢字では書けない二音節反復型のオノマトペを数多く発明してきたんです」(専門家談)

まあ、難しいことはここまでとして、ふだん使い慣れてる言葉がフランス語であるというのは、なんか悲しい気がするね。情景描写とか、感情表現、仕草や動作、自然現象を表すには難しい表現を使わずとも音感だけで表現できるのがいい。しかも立体的だから、なおさら分かりやすい。だから、数多く使ってしまうし、身近にある親しみのある表現だ。それだけにオノマトペというくくりは納得できないのだ。美しい日本語は数多くあるんだから、もっとふさわしい日本語でくくってみたいものだ。

専門家さんは漢字では書けない二音節反復型のオノマトペを発明したとあるが、それでは、これら漢字はオノマトベとはいわないんだろうか。努々(ゆめゆめ)、嬉々(いそいそ)、熟々(しげしげ)、嫡々(ちゃきちゃき)、戦々(わなわな)滔々(とうとう)昏々(うとうと)、区々(まちまち)、交々(こもごも)、粛々(しゅくしゅく)濛々(もうもう)、愈々(いよいよ)、云々 (うんぬん)、密々(ひそひそ)、縦々(よしよし)、緊々(ひしひし)、擦々(すれすれ)、刻々(ぎざぎざ)、屡々(しばしば)、強々(こわごわ)、云々(しかじか)、点々(ぼちぼち)、緊々(びしびし)、弥々(いよいよ)、愈々(いよいよ)、寸々(ずたずた)。

窃々(こそこそ)、熟々(つくづく)、数々(しばしば)、粘々(ねちねち)、擦々(すれすれ)、条々(おちおち)、吃々(くすくす)、轟々(ごうごう)、汲々(きゅうきゅう)、千々(ちじ)、苛々(いらいら)、諄々(じゅんじゅん)、諸々(もろもろ)、寸々(ずたずた)、戦々(わなわな)、累々(びしびし)、虚々(うつらうつら)、態々(わざわざ)、偶々(たまたま)、汲々(きゅうきゅう)、欣々(にこにこ)、ああ、上げだしたらきりがないね。