◆球児たち

晴海トリトン

今年8月は暑さが鬱陶しいのと、生来の怠け癖がもろに出てしまって、ろくすっぽ表に出なかった。っていうことで、ヒマだから、高校野球中継をいつになく熱心に見てしまった。といえばかっこいいが、ごろ寝して肘枕でテレビを見ているわけだから、快い風などが吹き込んでくると、ついつい転た寝をしてしまう。けっきょく、よく見ているようで、実はよく見ていないことになる。つまりテレビの前にはいるんだけど、殆どが居眠り状態だったということになるのかな。

そんな状態ながら、今年の高校野球を総括すると、スケールが小さい、好投手はいたけど、剛球投手はいなかった。何人か150kmを越す剛速球を投げていたが、その大半は打者の頭上を越すものなど、ストライクゾーンを大きく外れる、いわゆる暴投に近い球で、速いだけで球の伸びが感じられなかった。本当の意味で、コースを狙って150kmを越す速球を投げたのは、やはり注目の左腕投手、菊池雄星だけだった。菊池は力まずにノビノビと投げたときの方が急速を増すタイプで、しなやかな腕の振りと、美しい投球姿勢が際立っていた。

勝ち上がり組の投手は相対的に軟投型で、少ない球種ながら、巧みにコースを突いたり、高低を投げ分ける頭脳的投球が目立った。ピンチに球が浮き、連打を喰らうジャイアンツの内海や高橋なんか、プロと名乗るのが恥ずかしいようなもんで、こういう高校野球投手の爪の垢でも煎じて飲めばよい。中京の堂林翔太にしろ、岐阜の山田智弘にしろガタイはでかいのに、速球に威力を欠いていたのは、やはり投げ方に問題があったし、連投に耐えるためチーム事情もあったんだろう。

この二人にしろ、明豊の今宮健太にしろ、投手としてよりも、むしろ打者としての素質の方が大きそうだ。バッテングセンスといい、長打力といい、チャンスに強いなど、当然ドラフトの対象になるだろうが、打者として好素材である。それにしても、菊池雄生、堂林翔太、嶋田聖羅、中林大地、横山貴大、若林尚希、江崎秋馬、庄司隼人、などなど、出場選手の名前のなんと様変わりしたことか。名前だけ聞いていると、まるで劇画かアニメの世界を見ているようで、大きな違和感を感じたね。