◆鬱陶しい

ブーゲンビリア

今年、関東地方は一部を除いて、空梅雨だったから、あまり鬱陶しい思いをしないで済んだ。梅雨のジメジメとした鬱陶しさは、ほんと憂鬱になるもんね。日刊ゲンダイだったか、未曾有の大雨に見舞われて大きな被害の出た、山口県、九州北部、関東では唯一竜巻が発生した群馬県館林市、いずれも安部元首相、福田前首相、麻生現首相の地元だったなどという穿った見方が出ていた。国民をバカにした政権交代に天の鉄槌が落ちたと続くと、ちょっと大袈裟かな。

鬱陶しい、憂鬱、鬱血、この鬱という字、負の感じの強い文字だが、ひねくれ者としては好ましい字で、けっこう愛用している。鬱という字の難しさが更なる魅力を感じさせるのだ。鬱という字には欝という略字もあるが、覚えやすい反面、どうもこれでは面白くないね。だけど、鬱という字が単独で使われ、精神病あるいはノイローゼを現わすということになると、けっこうしんどい物がある。

最近、鬱は「心の風邪」という表現が定着してきた。これは風邪のようにかかる頻度の高い病であって、こじらせると重症化する危険もあるので、早期受診が大切なのだということを広く啓蒙するのに役立っている。だが、鬱病患者の増加で、病状の長期化や再発も起きている。「心の風邪」という表現が薬を飲んで安静にしていれば治るという、かっては結核対策に応用されたような勘違いを生んでいるのも事実のようだ。心理カウンセリング重視の治療こそ寛解すると説く医師も多い。寛解とは病気の勢いが衰えて症状が出ない状態をいう。

難しい字としては鬱のほかに薔薇がという字も難解だ。例えば鬱の覚え方は「木と木の間に缶があってふたを開けてみると箱の中に米が入ってた。でもそのことは人にはヒミツ」。薔薇の覚え方は「薔=廾エ人人回、廾微=二人で工夫して回れば苦も微笑む=ばら色の人生、微=〒山πトX=天岩戸に駆けつけて参拝の手紙を届ける」、とある。だが、あまりピンと来ないようだね。コチトラだったら、鬱という字、<利かん気(木缶木)の坊主が輪(ワ)をかけ、蓋なし箱に米を斜めに押し込み、秘密(ヒ三つ)の場所に隠した>って読み説くね。時に「孑?」って書いて 「ぼうふら」と読む。おかしな日本語だねえ。