◆小町娘

並木道

豊洲ララポートはおよそ年寄りには縁がないようなショップが多くて、2階にあるユニクロへ行く以外は、ほとんど通り抜けるだけって感じになる。大いなる期待を抱かせた紀伊国屋書店も器が大きすぎて、お目当ての本に行き着くまで、えらい苦労を強いられるし、無印良品には魅力的商品が欠けているし、反対に東急ハンズは興味ある品揃えだが、如何せん価格設定が高すぎる。100均のダイソーは店が狭すぎてにっちもさっちもいかない。

ま、そんな「ららぽーと」だが、そんな一角に「東京小町」という、なんか大正ロマンを思わせるような店舗があった。どうやら、女性専用の美肌商品の小売店のようだ。まったく閑散としているが、週末には客が立て込むのだろうか。ジジイが古くさいネーミングだなって思うくらいだから、若い女性には通用するんだろうか。

小町娘といえば、いまや白米の「秋田こまち」の名前の方が人口に膾炙しているようだが、小町娘という言葉の響きは、僕ら世代には胸の奥をそっとくすぐられるような甘味な、そしてほろ苦い想いにしばし誘われる。小股の切れ上がったいい女っていうと、鉄火肌の姐さんタイプを思い描くが、小町娘といえば、やはり清純な乙女を連想してしまう。辞書で引くと小町娘とは「美しいという評判の娘」ということで、やはり秋田が出自となる絶世の美女と謳われた小野小町に由来するらしい。

「犬っこ」「しがっこ」「かだる」「小町娘」と聞いて、ぴんと来た人はかなりの東北通、これ、すべて秋田県湯沢市に関するキーワードだ。まず小町娘、毎年7人の小町娘が、20歳前後の未婚の女性達の中から選ばれる。「市女笠」を被った小町娘は秋田県の代表的な観光ポスターとなっており、秋田新幹線「特急こまち号」など、 7人の小町娘たちは、秋田観光イベントなどに大活躍している。

「しがっこ」とは「つらら」のこと、「♪春になれば、しがっこも溶けて〜♪」という歌詞が童謡にもある。「かだる」とは、「英語でいうと”join”ということ、ミニかまくらを作ったり、キャンドルに点灯したり、みんなが参加するイベント。ちなみに、犬っこまつりは、愛犬家にはちょっと知られたお祭りだそうだ。2月7日=しがっこまつり(小安峡温泉)2月7〜8日=かだる雪まつり(秋の宮温泉郷)2月14〜15日=犬っこまつり(湯沢市)と、2月は冬祭りが目白押しのようだ。