◆ブランド

川開き・朝日新聞より

ウインブルドン男子決勝戦で熱闘を演じたフェデラーロディック、その服装に目をやると、王者フェデラーは上から下まで「ナイキ」、しかも鉢巻とシューズはゴールド、いまやスポーツ衣料業界を席巻している米国発の多国籍企業だ。おそらくフェデラーは、動く広告塔としてナイキは高額の契約金と年俸を保証しているんだろう。

対するロディック、近年成績不振で30位以下を低迷しているから、有力なスポンサーに恵まれなかったんだろう。米国出身の選手なのに、身にまとっていたのは、昔懐かしい緑のワニのロゴ「ラコステ」だった。なんか久し振りに、スポーツ選手が身につけているのを見た気がする。かってはポロシャツのステータス・シンボルとして、「マンシンング」とともに一世を風靡した有名ブランドだった。あの頃はトータル衣料ではなく、箇々の品種でメーカーがブランドを立ち上げ、競い合っていた。世の中はがらりと変わり、いまや金にあかして有名選手と契約し、巨大ブランドを立ち上げる多国籍企業が業界を支配する時代となった。

思い起こせば、30年ほど前、「ラコステ」や「マンシング」は高級ブランドだった。ポロシャツは2000円も出せばそこそこの物を買えた時代に、この二つのブランドは8000円以上もした。コチトラなんかあまりに恐れ多くて、といえば負け惜しみ、とても手を出せる代物ではなかった。口惜しいけど、未だに袖を通したことがない。薄手の長袖が肌に優しいマンシングのポロシャツは未だに普段着として愛用している。30年以上も経ったのに、型崩れ一つしないし、襟周りや両袖につけられたリブは伸び縮みしないし、ほつれも出ない。

近年、ユニクロの商品が売れているが、売れていて当然だ。値段がリーズナブルなことはもちろん、中国製とはいえ、指揮系統がしっかりしているため、縫製はきちんとしているし、品質の向上にも努力している。当然愛用しているが、不満もいくつかある。まず、サイズが規格より小さめだし、カジュアルパンツが男女兼用ということで前が開いていない。ポロシャツには胸ポケットがついていない。低価格を追求する上で、カットせざるをえないんだろうが、使い手としての不便は残るね。