◆天気模様

アジサイ

今年もアジサイが咲き出したけど、例年に比べると、花の色が落ちる気がする。ブルーにしろ、ピンクにしろ、色の鮮度がいまいちで、全体に白っぽく感じられるのが残念だ。とりわけ、ガクアジサイの場合、ピーク時に見られる、紫がかった青と紫がかった赤の濃厚かつ微妙な変化がいまいち深みがなく、楽しみがない。

雨に打たれるアジサイの姿は中々味わいのあるものだが、その魅力も今年は一段と薄れる。今年のアジサイは季節変動の影響で、少し早く咲きすぎたようだ。だから、「卯の花腐し」の雨には似合わない。本格的な梅雨空に咲くからアジサイはしっとりと麗しく見えるのだ。

きょうは朝から雨模様、「五月雨」というのか、「小糠雨」というのか、細かい雨が振ったり止んだりしていた。ところが夕方が近づいてくると、一転して「篠突く雨」となった。シトシト、パラパラ降っていたのに、いつにまにかザーザー、ピッチャンといった感じになっている。この時期に降る雨は「走り梅雨」、陽暦五月、梅雨に先駆けて長雨の降ることがある。このような雨を「卯の花腐し」(うのはなくだし・くたし)というようだ。

あたかも卯の花(ウツギ)が盛りの季節。初夏の太陽のもとで輝いていた花々は、雨に濡れてうなだれ、生気を失っているように見える。普通、適度のお湿りは花の美しさを引き立てるもので、この花も例外ではないのだが、しばらく雨が続くとクタクタになってしまうのだ。外遊びの好きな子供が雨を嫌うように、雨を嫌って「腐って」いるかのようでもある。

卯の花腐し」は卯の花を朽ちさせるほど長く振り続ける雨をいい、五月雨すなわち梅雨の異称ともされるが、卯の花の盛りは梅雨より前にずれるので、走り梅雨の頃の方が季感としてはふさわしい。梅雨の終盤に降る、まとまった激しい雨を「暴れ梅雨」または「荒梅雨」といい、梅雨の終わりに降る、雷を伴うような雨を「送り梅雨」、梅雨明けの後に再びやってくる長雨を「帰り梅雨」または「戻り梅雨」ともいう。