◆ついてない

スイセン

この地、枝川は大変便利なとこで、門仲方面、錦糸町方面、浅草方面、反対方向でお台場方面、晴海方面、銀座・新橋方面の都営バスが頻繁に行き来している。きょうもきょうとて、木場方面へ出掛けようと、コピーしている時刻表を見ると、ジャストナウ、バスが発車した時間だった。ベランダへ出て確認すると、目の下をバスがゆっくりと走り去っていった。次の時間は、ん!なに20分後だと?午後の時間帯はどうやら間隔が長いらしい。ま、!いいか、せっかく出掛ける気になったんだから、ゆっくり次のバスを待つとするか。

「待てば海路の日和」とか、バス停のベンチに座って、ゆっくりと周りを見渡す。ちょっと前まで白い花を満開にしていた、目の前のオオシマザクラは若葉が勢いよく伸びて目にも鮮やかである。その下を点々と白く彩っているのは、いまが盛りのコデマリ、中間の高さで白い花を咲かせているのがハナミズキ、この道路の並木は濃緑のマテバシイ、「目に青葉 山ほととぎす 初がつお」、なんとも心が豊かになる季節だなあ。

いつのまにかバス停に何人かがたまっている。事務服を着た二人の女性がいて、話し好きそうなジサマが話しかけている。「あんたたち、双子じゃない?」「はい、そうです」、振り返ってみると、かなり美形のよく似た二人が立っていた。制服の胸にある企業ロゴを見ると、テプコ、どうやら東京電力の検査員らしい。こんな美人が検査に訪れたら、男たるもの、悪い気はしないだろうね。だけど、最近では電気の計量は部屋の外に設置された計器を、いつの間にか調べているらしいから、遭遇する機会も少ないだろうしなあ。

目的地に着いて、いつものように花を撮っていたら、突然写らなくなった。なんと、電池切れだと。しまった、今日に限ってナップザックを背負っていない。あの中に予備の電池と、予備のデジカメが入っている。きょうのバックに移し替えるとき、うっかり忘れてしまったんだ。ああ、なにをかいわん、普段から十分チェックしているのに、今日に限って何故だ、心の中でいくら喚いてみても、いまさらどうしようもない。帰りのバス停に向かっていると、なんということでしょう、バスは発車したばかりじゃあないか。

気になっていたこと、マテバシイは多分「待てば椎」ということだろうが、「アスナロ」(明日なろう)と同じような発想で命名されたのだろうか。さっそく調べてみた。「和名は葉がマテガイに似たシイノキであるという意味だが、植物分類上はマテバシイマテバシイ属に属し、シイノキが属するシイ属とは同じブナ科でも別属に分類される。最近では街路樹にたくさん植栽されるようになり、大きなドングリを実らせているのを見かけるようになった」。どうやら、「待てば椎」は俗説だったか、残念。やっぱ、ついていない日だったなあ。「スダジイ」っていう木もあったけど、、もう、どうでもいいや。