◆楽しいね

モッコウバラ

WBCの優勝監督として、凱旋将軍し、すっかり株の上がった原辰徳監督だった。だが、1ケ月近くジャイアンツを離れていたハンデは大きいはずで、やはり開幕早々は、広島に2連敗する不安の立ち上がりだった。ところが、さすがに大監督の風貌は伊達ではなかった。以後打つ手はことごとく当り、あれよあれよの6連勝、1敗を挟んで再び6連勝中と波に乗っている。ジャイアンツ・ファンと大声で言うのが恥ずかしい時期が長かったが、やっと日の目を見られるようになった。

21日、グライシンガーが自己最多の11三振を奪う熱投を長崎のファンに見せ、07年9月以来となる完封で3勝目をマークした。好調のヤクルト打線に三塁を踏ませない3安打投球で、2年越しのカード7連勝。チーム15試合目で完投一番乗りも果たした。

22日、巨人の「九州シリーズ」第2戦は佐賀で初開催の公式戦。坂本が8回に逆転の2点二塁打を放ち今季2度目の5連勝を飾った。巨人は0―2の6回1死一、二塁から亀井が右前打で1点を返すと、8回2死一、二塁から坂本がヤクルト3番手・五十嵐からセンター方向へはじき返し、ヤクルトの守備の乱れも味方し、2点を加え逆転した。

首位を快走している巨人だが、先発三本柱のうち、グライシンガーを除く内海、高橋が乱調気味で、前半に打ち込まれるケースが多い。それに続く東野、福田も勝ちはしているものの、乱調気味で、いつ打たれるか気が気じゃあない。なんとか5−6回まで持たしているという情けない状態だ。その代わり、絶好調のリリーバーたちが開幕ダッシュの立役者となっている。開幕から10試合連続無失点を続ける豊田を筆頭に、山口、越智の「風神・雷神」、クルーンの4人はそろって防御率0点台(きのうでその記録も途絶えたが)。しかし、本来なら先発ローテーションに入る筈だった木佐貫、西村、金刃、野間口などの若手投手陣がいま一つぱっとしないのが癪の種だ。

ジャイアンツ快勝の立役者は日替わりのヒーローたち。中日3連勝では、坂本、アルフォンゾ、寺内、李、鈴木、亀井、鶴岡、谷、小笠原。坂本と小笠原以外は、相手先発投手に対するツープラトン・システムで起用された選手たち、その策がことごとく当たっているんだから、首脳陣は笑いが止まらない。小笠原、ラミレス、李の主軸はホームラン数では物足りないが、好調さは維持していて、まもなくホームラン量産体制に入るだろう。今年の公式ボールは例年になく飛ぶようだから、これから楽しみだ。

鶴岡ってダレ?故障が多い正捕手阿部慎之助の控えとして、昨年横浜ベイスターズからトレードされた選手。阿部欠場の穴を埋めて、少ない出場数にもかかわらず、すでに3本のホームランを放っている。球界一と呼び声の高い美人妻に恵まれているいう噂ばかりが先行した選手だったが、正捕手阿部もおちおちしていられない。

そして寺内、まさに、え!寺内ってなに?ジャイアンツ通としても一瞬分からないくらいだった選手、名鑑によると寺内崇幸(25)はノンプロ・JR東日本からドラフト下位で入団した内野手だ。18日の中日戦、2番で今季初スタメンに抜てきされた3年目の寺内が、左翼へ決勝のプロ1号ソロを放ったんだから、ほんとびっくりこいちゃったね。とにかく今年は楽しいね。若手が活躍してくれると、楽しみが倍増する。テレビ中継は減ったけど、ラジオだってあるし、インターネット速報が、逐一試合経過を教えてくれる便利な世の中である。