◆卯月4月

シダレソメイヨシノ

睦月、如月、弥生と来て、4月はなんだたっけ、卯月は5月だよなあ。待てよ競馬の皐月賞は4月開催だった、そうだ、皐月だったっけ、後で調べようっと。あっという間に月日は過ぎて、4月となった。心はずむ季節である。心なごむ日々である。心せわしい毎日である。通勤時間でもないのに電車が混む。黒ずくめの若い男女が群れて乗っている。研修におもむく新入社員の連中だ、果たして、この中から何人がこの不景気の波脱出できるのだろうか。希望に満ちた船出だったろうに、前途はあまりにも陰鬱きわまりない。

ここんところ、待ちかねた花の季節の到来に、心ウキウキ、歌うブギウギ、花をパチパチ、身体はギスギス、歩く姿はヨタヨタ、ヨロヨロ。写真整理にアップアップ、眠気でウツラウツラ、でもワクワク、ドキドキの毎日を送っている。のんびりと冬の穴蔵に閉じこもっていただけに、ものすごく忙しく感じるのである。コジゼラの原稿も書きためておいたものがナッシング、1日おきにやってくる掲載日がまるで地獄の1丁目に見えてきた。ぶっつけ本番ばかりっていうのはとても応える。

「月様!雨が」「春雨じゃ濡れて帰ろう」、ってわけでもないんだが、天気予報は見事に当たって、出先からの帰りはびしょ濡れになった。暖かい雨だったので、ちっとも気にはならなかった。っていうより、いまは心が弾んでいるから、この程度の雨なんか許せちゃうのである。それこそ、ピチピチ、ジャブジャブ、ランランランの心境なのだ。この時期張り切っていなきゃ間尺に合わないのだ。例年5月になると、かならず五月病になるわけで、昨年もゴールデンウイーックの真っ最中、入院していた。

4月末に必ず年を取る。人はメデタイといってくれるが、とんでもない、73才といえば、もう地獄の1丁目にさしかかっているわけで、ちっとも嬉しくない。足腰の弱さを嘆き、気力の衰えを益々自覚せざるを得ない年代に突入しているからだ。記憶は衰え、身体のアチコチに障害が出てくる。だけど、そんなことボヤいたってなるようにしかならない。今年こそ、なんとか張り切って五月病にとりつかれないように、頑張らなくちゃ。そうそう、4月は卯月だった、なんで皐月賞が4月にあるんだろう、向こう正面では満開のサクラが咲き誇っているのに。