◆焼香

紅白そろい踏み

好むと好むざるとに関わらず、通夜や葬式に出掛けることが多くなった。自分も含めて周囲が高齢化しているのだから、当たり前の話しだが、ふと考えると、そうした場でのしきたりとかやりかたとか、知っているようで知らないことも多い。通常はまず遺族に一礼し、ついで故人に一礼、合掌し、抹香を額の前まで持ち上げ焼香、これを3回繰り返し合掌、遺族に一礼して下がるというやりかたをしているが、これは果たして正しいのだろうか。そこで、ちょっと確かめてみることにした。

焼香には「抹香」(香木を粉末状にしたもの、日本では樒の葉と皮を乾燥して粉にしたもの)と「線香」(香料を線状にして松脂などで固めたもの)の2種類が通常使われている。一般に線香は仏壇前や墓前で使われることが多く、抹香はお葬式などで使われることが多いようだ。

線香には「立てる」派と「寝かせる」派があり、「寝かせる」派は浄土真宗(東西)であり、天台宗真言宗、浄土宗、禅宗日蓮宗は「立てる」派だ。通夜、葬儀、法事などでするのは主に抹香だが、これにも「右手の香をもち、いちど香を額にいただいてから左の香炉へ」派と「香をいただかずに右から左へ」派とに分かれる。「香を額にいただかない」派はやはり浄土真宗(東西)で、その他は「香を額にいただく派」だ。

一般に3回とされているのは、真言宗日蓮宗くらいで、天台宗では回数について定め自体が存在しない。浄土宗では1回、2回、3回それぞれで意味づけが与えられているようだ。禅宗は回数などにはこだわらないが、外から見ていると、臨済宗は1回が多く、曹洞宗は2回が多いようだ。回数が定められているのはむしろ浄土真宗で、お西、つまり浄土真宗本願寺派では1回、お東、つまり真宗大谷派では2回と定められている。

一般では、まず(1)遺族に一礼、(2)前に出て仏前に一礼、(3)一歩前に出て焼香、(4)終わって合掌、(5)下がって遺族に一礼、となる。問題は遺族で、会葬者全員に前後に2回ずつ礼をすることになるから大変だ。今後、こちらの側に座ることも多くなりそうだから、これはしんどいね。早く自分が棺桶に入ってしまった方がラクチンみたいだね。