◆花冷え

エドヒガン

ここ数日、冷たい雨が降ったり、気温が冬のような気配を示している。2週間ほど前は春先としては異常な暑さが続き、サクラの開花も早くなりそうに思えたが、そうは問屋が卸さなかった。きのうは久し振りに朝から快晴になったから、喜び勇んで出掛けたものの北東の風が吹き荒れ、気温13度とは思えない体感温度だった。期待していた新宿御苑ソメイヨシノはまだ1分咲き、満開はどうやら4月に持ち越されそうだ。

さて御苑だが、白のモクレン、コブシはほぼ散り去り、黄色のサンシュ、マンサクは勢いを失った。いま満開なのは、低木では白のユキヤナギ、黄色のヤマブキ、淡緑色のトサミズキ、奇妙な形のキブシ。ボケもけっこう長く咲き続けているようだ。ハイライトはなんといってもゲンペイモモだろう。紅白の混じり方が花それぞれで異なり、見事な光景を演出している。レンギョウエニシダはまだつぼみも付けていなかった。オオデマリコデマリもまだこれからだろう。

一方サクラ系ではカンザクラはすでに葉桜になり果て、カンヒザクラは細くやせてしまった花の残骸が無様にぶら下がっている。紅色のヨウコウは場所によっては盛りを過ぎているが、ほぼ満開、純白のオオシマザクラは5分咲きといったところか。シダレはエドヒガンの園芸品種、ともに満開となっている。ピンク色のコシノコヒガンはほぼ満開、ちなみに長野・郄遠のサクラはコヒガン、天然記念物に指定されている古木の多くはエドヒガンかコヒガンの系統である。

肝心のソメイヨシノはようやく1分咲きといったところで、御苑は人は多くても、なんとなく虚ろといった感じが強かった。いまが盛り、御苑の千駄ヶ谷門近くにあるエドヒガンは、とにかく形がいい。5本の大木をバックに悠然と咲き誇っている様はまさに横綱級だ。大木戸門近くにある、前面に玉藻池を配し、小さな丘の中腹に陣取る、これもいまが盛りのコシノヒガンザクラはまるで箱庭のよう、小さな花だが、集まって咲くと、見事なピンクに染まる。間もなく終わりとなりそうだが、温室前のヨウコウの紅色と、オオシマザクラの純白との対比も見事だ。

いずれにせよ、あと数日で園内の多数を占めるソメイヨシノが満開となる。一つ一つの木が大きいため、一斉に咲き出すと、それは見事なパノラマとなる。ソメイヨシノが終わりを告げると、今度は各種のサトザクラが一斉に咲き出す。とにかく本番はこれから5月初旬まで続くわけで、いくら御苑のサクラ命といっても、毎日は通えないし、悩みの種となるんだよなあ。