◆シクラメン

キク管物

我が家のベランダで奇跡が起きた。昨年購入したミニシクラメンが暑かった夏を無事に越して、秋口になると、ドンドンと葉を増やしふくらまし、盛り上がってきたと思うと、白い花芽がアチコチから頭をもたげ、いまじゃ満開となっている。花屋の店頭を飾る室内用の大型シクラメンなんか、高価だからとてもじゃないが手を出せなかっただけに、望外の喜びだった。嬉しついでに、ちょっとしたネタを紹介しよう。なんて威張っちゃったが、果たしてどうか。

シクラメンの和名は「篝火花」という。クリスマス前後の花屋の店頭に飾られるので冬の花と思いがちだが、それは温室での栽培種だからで、俳句ではシクラメンは春の季語。この花はサクラソウ科の多年草で、地中海東部の原産。春の季語に取り入れられているのは、3月頃下向きに花をつけるため。長い柄のハート形の葉に白斑がある。一重、八重などの種がある。ヨーロッパで「豚の饅頭」といわれるのは、放し飼いの豚がその球根を食べるからだ。

ハゲイトウの漢名は「雁来紅」という。雁が飛来してくる秋になると、その葉が美しい紅色に染まるのでこの名がある。黄色、紫色の斑紋をもつものもある。雁来紅は漢名で、和名は葉鶏頭、鎌柄など。かまつかとは、鎌の柄になる木ということ。属名を用いて「アマランサス」ともいうが、これは「色が褪せない」の意味。そのために「不老・不死」の花言葉がある。種名のトリコロールは「三色の」の意味、英名は旧約聖書に登場するヨセフにヤコブが与えた多色の上着のことで、鮮やかな葉色をこの上着にたとえている。

冬の激しい風が、電線や木々に当たって、ピューピューと鳴る音を「虎落笛」という。「虎落」(もがり)とは、竹で編んだ垣根のことで、冬の強い風が、竹垣や柵などを通り抜ける時、ピュー〜っていう笛のような音がする。今では「虎落」を通り抜けなくても、風の音を表現する時に使われることも多い。普段は全然気にならないのに、時として風の音が急に大きくなって耳に届くときがある。そんなとき使えるこんな便利な言葉があったんだ。

プレアデス星団」のことを和名で「昴」という。すばるは、古代から王者のシンボルとして、また農耕の星として尊ばれて来た。このすばるが真上に来ると、豊作になると云うことわざが、長野や山形地方には伝わっている。すばるは、1月の上旬にもっとも高く南の空に見える。肉眼では6ケの星がチラチラと見えけど、実は7ケある。「すばる」という和語は「統一されている」「ひきいられている」という意味で、星団をひとくくりとして名称を与えたところからこの名がある。「統べる」の他動詞の連体形である。