◆見る阿呆

よさこい踊り

例年、11月初旬の3連休に合わせて、臨海副都心で開催されるのが「夜さ来い」だ。むろん、高知のよさこい節をネタにしているわけだけど。戦後、阿波踊りの勢いに押されて、低迷していた「よさこい踊り」だったが、智恵者が出て、北海道の「ソーラン節」と合体した「よさこいソーラン」が北海道で大人気となり、いまでは日本各地で若者達が積極的に参加するビックイベントとなっている。よさこい節を入れること、鳴子を使用すること以外、うるさい制約をつけなかったから若者達の想像力を刺激し、全国的規模へと広がっていったようだ。

毎年通っているから、いってみれば通の領分、フジテレビ前、お台場駅前など繁華街は見物人が殺到し、いい場所をとれないのは必至だから、いつも閑静な船の博物館前の広場に陣取ることにしている。見物客が少ないから、最前列の特等席を独占できるからだ。ただ、93チームのうち、ここへやってくるのは50チームほど、有力なチームは、ほとんどがお台場などメイン会場を目指す。だから、小規模編成だとか初参加組などが多いのも特長だ。

各チームが凝った意匠に身を固め、踊りの途中で歌舞伎役者のように、衣装の早変わりをやったりもする。リズムに合わせたスピーデイな踊りを、チーム全体でどうシンクロさせるのかが見ものだ。とはいえ、参加することに意義があるといったオリンピック精神で、下手な踊りを楽しんでいるチームも散見された。年齢制限もおおらかのようで、後ろの方では幼児達が、女の子はひっつめの髪で、男の子は丸坊主に鉢巻姿で、見よう見まねなチグハグ踊りを披露していた。これが、何とも可愛くて、絶好の写真対象だったが、いかんせん遠すぎた。

綾瀬市からやってきたチーム、おそらく平均年齢60歳前後だろう。笑っちゃったのは、見物席最先端に並んでいたカメラ陣営は、誰一人としてカメラを向けていないことだった。明らかに次チームの登場を待っているといった雰囲気だったね。コチトラ、いくら数奇者といっても、ゲテ物を撮る度胸はなく、申し訳ないが終わるまで下を向いていた。フィナーレはお台場会場で、全チームが参加して盛り上がるのだが、残念ながら連れがいたので断念した。いつもは、ココで踊りながら近づいてくる、各チームの中から目立つ被写体を探しだし、かのじょ一点に焦点を絞り追っかけるのだったが。