◆深まる秋

日比谷公園

<きょうから11月。冷気が露を結んで凍え、地を白く覆う霜月の始まりである。旧暦だと、きょうは10月(神無月)の4日にあたる。旧暦神無月の別称は小春。ゆく秋は、冬将軍に城を明け渡す前に、明るく穏やかな日差しの小さな春を、この季節に呼び戻す。暗く厳しい玄冬の前に出現するささやかなぬくもり、小春日和はそう長くは続かない。霜に脅かされ、木枯らしに吹き消され、いずれ大陸からの寒気にのみ込まれていく。暖秋、暖冬といえども、小春日和が春までもつわけはない。桜やツツジが今ごろ時ならぬ花をつける「帰り花」もまた、つかの間の華やぎだ>

朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってきた。気がつけば、もう11月である。冒頭の文章だが、さすがに名文、さすがにプロ、簡潔な文章の中に、しっかりと季節感を織り込んでいる。コチトラの雑文などとてもじゃあないがお呼びじゃないね。この文章は11月1日記載の、日経のコラム「春秋」から抜粋したものだが、「春秋」というのは朝日の「天声人語」、読売の「編集手帳」、毎日の「余録」などと同じ名物コーナーで、それぞれの新聞社を代表する編集委員が執筆している。一頃朝日新聞がつまらなかったときは「天声人語」も不振だったし、元気がよかった読売新聞は「編集手帳」がとっても好調だった。

小春日和を楽しめる季節になったね。だが、転寝をゆっくり楽しむ暇もなさそうなのが、11月初旬のスケジュールだ。1日から、新宿御苑日比谷公園で菊花展が始まるし、2日か5日まで、晴海トリトンで「インフォラータ2008」、2,3日にはお台場周辺で「ドリーム夜さ来い」が行われる。7日は高校の同窓会、8日は長男宅を訪問、孫ジュリとのデート。既に10月26日から、日比谷公園で「グリーンテック2008」、浅草寺で「菊花展」が始まっている。

「インフォラータ」とはイタリア語で「花を敷き詰める」という意味で、下絵の上に色とりどりのバラの花びらをちりばめるもの。晴海トリトン前の運河沿いの道にぎっしりと花びらが敷き詰められる。「ドリーム夜さ来い」は高知県の伝統的な民謡、「よさこい節」に合わせ、鳴子を持った踊り子たちがよさこい踊りを披露する。本場のチームも含め、関東近県及び東北地方から集まった92チームが独自の振り付けで東京副都心を踊り回る。「グリーンテック」はハンギングバスケットの展示会を中心とした庭造りなど、花と緑のセレモニーだ。