◆ややこしい

東京湾の壁


パソコンで漢字変換するのにローマ字変換を使っている人も多いと思う。かくいうコチトラもその一人だが、旧仮名遣いのひらがな又はカタカナ変換は、たとえば、「あなたを愛します」の「を」はwo、「お小遣い」のづはduと打っているよねえ。そして、小文字を組み合わせる吃音系、たとえば、「ジュネーブ」の「ジュ」はjyu、クォーツの「クォ」はqo、「フォーカス」の「フォ」はfoと打っているよねえ。ところで、シャルル・デュトワの「デュ」はどう処理しているだろうか。実をいうと、「デュはdhuと打つのが正しい。

次の漢字に音読みのふりがなを付けよ。「欧」「桜」「押」「横」「翁」…。お茶の子さいさい、すべて「おう」で満点さ――というのは現代仮名遣い(新かな)の場合だが、昔の人は大変だった。歴史的仮名遣い(旧かな)では、上から順に、「おう」「あう」「あふ」「わう」「をう」となる。政府が告示によって旧かな遣いを新かな遣いに改めたのは終戦の翌年、1946年(昭和21年)の11月である。

日本語ってほんとうに難しい。「しらうお」と「しろうお」、読み方次第によっては全く違うものになってしまう。「しろうお」(素魚)と「しらうお」(白魚)の違いは、「しろうお」はハゼ類独特の吸盤腹ビレを持っており、「しらうお」はサケやマス類の遠い親戚にあたる。「しろうお」は頭の先が丸みをおびているのに対し、「しらうお」はとがっている。「しろうお」通常海にいるが、春の産卵期になると川をさかのぼり、砂れきの下などに卵を産む。

「己己己己」と書いて「いえしき」と読ませる苗字があり、日本ではわずか1軒だけという珍名さんだ。「己・巳・已」の三文字は実に紛らわしい。「己」はおのれという意味で、紀子の紀を「き」と読むのは、これが旁になっているからだ。「巳は」干支の巳(み)で蛇を指し、「巳」はすでに・のみ・やめるという意味で「い」と読む。昔はこの三文字を「巳は上に、己は下につき、己は中程につく」といって覚えたそうだ。


長崎名物の卓袱料理はテープルに様々な料理の皿が並ぶご馳走メニューのこと。このしっぽくの正体は江戸時代に伝わった中国語の読み方、卓袱の卓はテーブル、袱はテーブルクロスのことだ。ところがこの卓袱に台をつけると、卓袱台(ちゃぶだい)と読み方が変わる。これも実は中国風の読み方、別の地方の読み方だそうだ。さすが、だだっ広い中国だけのことがある。