◆分割返済

アンカー

印鑑証明を取りに行った。最近は市役所に行かなくても、公民館などで、カードだけで印鑑証明や収入証明書が作れるようになった。これはとても便利な制度で、役所でイライラしながら順番を待つことから解放されたのが有難い。さて、本題に入る。過ぐる20年前、会社が倒産したとき、ほとんどの債務は裁判や交渉で解決したのだが、数が多すぎて網の目から漏れたものもあった。ある信販会社がその口で、ある日突然書状をもらい、意外な債務を背負わされていることが分かった。

倒産会社社長としての連帯保証債務で、元金2500万円、延滞金利8000万円(きのう現在)、とても払える金額ではないので、交渉の結果、毎月1万円づつ振り込む約束をした。以後約20年、1回の遅延もなく払い続けてきた。約200万円を振り込んだ計算だが、この金額は金利分に回されるので、元金は一向に減らない仕組みだ。ときたま様子見の電話がかかり、その都度、支払を増やしてほしいとの申し入れがあったけど、その都度曖昧にぼかしてきた。ところが、コチトラの入院を知って、余命いくばくもないと見たのだろう。いままでの誠実な態度を勘案し(先方の言い分)、和解をしたいと申し入れてきたのである。

交渉の過程を話すと長くなるので、結論からいうと、先月末20万円を支払う、以後27か月、1万円を払うことで、つまり54万円で1億2千万円をチャラにしようということだ。これこそ、渡りに舟、千載一遇のチャンス到来、当方の要求を入れた、先方の作成した相互契約書を詳しく見て、印鑑を押したのだった。印鑑なんて久しぶりに押したので、事前に練習してみると、横を向いたり、逆さになったり、薄かったりと試行錯誤の連続だった。

この印鑑を作る時、印鑑の面を必ず見て判を押すようにと、版元がわざわざ特注してくれたのが恨めしい。光爾という2文字だけの印鑑だから、逆にして見ても、とっても分かりづらい。それにしても、この印鑑を使うのは何年振りだろうか、立派な印鑑だけど、まったく必要がなかったなあ。印鑑類はにょうぼに、お任せだったから、どこにしまってあるのかも分からなかった。今回初めて見たけれど、すごいところに隠していたんだなあ。もっとも印鑑なんて、いまじゃ無用の長物みたいなものだから、隠し場所をにょうぼが忘れてしまっても、ちっとも問題はないけどね。