◆秋の気配

蜘蛛の巣・朝日コムより

朝晩すっかり涼しくなった。それも、つい2-3日前までは、お天道様が激しく燃えていたのに。深川の夏祭りが終わると、観念的に今年の夏は終わったという意識はあるのだが、いわゆる残暑なるものが、例年は未練たらしく居残っていたものだったが。いつものように南北の窓を開け放って、寝転がっていると、北風が一段と強くなっている。風通しが良すぎて、涼しさというより寒さを感じて、慌てて洋服箪笥をひっかきまわして長袖を羽織る有様だからね。

毎晩風呂を沸かすのがコチトラの務めだが、いつものように10分でタイマーをかけ、風呂に入ると、その温いこと、温いこと、慌てて追い炊きをしてはみたものの、身体が温まるのに、さらに10分もかかるんだから、びっくりしてしまうよ。心なしか、蝉の声もさびしげに聞こえてくる。今年の8月は、酷暑の上に北京オリンピックが重なったため、極端に外出の度合いが減って、記録を見ると、出歩いたのはわずか7日ほど、ほとんど家に引きこもっていた。

だから、酷暑云々といっても、身体で体感することは少なかったが、風呂の沸き具合、ベランダの植物の乾き具合が異常だったことなどから実感できた。暑い盛りに出かけるのは、熱中症になるのが怖いことを除けば、実はちっとも苦にはならない。だが出不精になってしまうのは、なんといっても写真を撮る機会が激減してしまうのが一番大きな理由だ。夏枯れで花らしい花がほとんど咲いていないってことは、もうそれだけで、外出する意欲が大きく阻害されるね。

その一方で、毎日このように自堕落な生活をしていていいんだろうかとの反省もある。ただ、何の目的もなく、一日をボーっと過ごしていると、なんか空しくなるね。このまま、ボケっと残る命をつないで行くのかと思うと、ほんとぞっとする。そんなわけで、秋の到来は心身ともに待ち焦がれているんだが、待っているのは、こんな偽りの秋ではなく、天高く菊薫る本物の時候じゃなくちゃ嫌だね。

開会式を迎えた北京オリンピック、早朝の男子マラソンは日本で育ったケニアワンジルがぶっちぎりで優勝した。マラソン選手の走る北京の空は、真っ青の快晴、この日の好天を得るために、軍隊が雲に向かって、化学物質を含んだ大砲を何度も打ったという。その影響で東京の天気が悪くなったと考えるのは邪推かな。いずれにせよ、きょうで北京オリンピックが終わるとなると、急に空しく感じてしまうね。