◆狂熱の日

富岡八幡・連合渡御

富岡八幡宮例大祭は3年に1度の本祭り、連合渡御だ。沿道から神輿と担ぎ手に、派手に水をかける「水かけ祭」としても有名で、もう前の晩から興奮冷めやらぬ思いだった。日枝神社山王祭神田明神神田祭とともに江戸三大祭の一つに数えられているが、今年は各町会の大神輿54基に加え、奥州平泉の神輿が特別参加した。午後の部は、これら55基の神輿が、永代橋の手前に待機し、激しい水しぶきを浴びながら、次々と富岡八幡目指して担いで行く。

見せ場は3か所あり、一番の見せ場は富岡八幡前だが、ここは常に超満員の人であふれ返っているから、ちょっと無理、二番目の見せ場である永代橋西詰がコチトラの指定席だ。ここでの見せ場はなんといっても、地元消防署が操る左右2カ所からの豪快な放水だ。神輿も担ぎ手もビショビショになってしまうが、同時に見物客も水まみれになってしまう。写す立場としては、だからこその穴場であり、濡れることを恐れず、神輿の近くに突進することが命題だ。

天気予報は曇りだったが、スタート直前に小雨が降り出し、いままでの熱暑がウソのような肌寒い中で始まった。ムンムンとした熱気が、一瞬に水の勢いで蒸発するが、その後は、担ぎ手の情熱と、水とのせめぎあいが楽しい。間近で撮っているから、神輿と一緒に大量の水を浴びるのは致し方ないが、カメラもビショビショになる。気がついたら660枚も撮っていたが、このカメラ、よく頑張ってくれた。

地元の枝川の神輿の順番は12番目だったので、これを写したら退散するつもりだったが、結局は40基辺りまで、熱気ムンムンで頑張ってしまった。小雨が降る出すなかで、気がつけば、パンツの中まで、水でグッショリ、寒気がする。隅田川のほとりまで下りて行き、シャツを着替え、ジャンパーを羽織って、家路を急いだ。熱いシャワーを浴び、風邪薬を飲んで、着替えを済まし、また家を飛び出していった。4時過ぎに枝川の神輿が帰ってくるのを待つためである。地元へ神輿が凱旋したころは、もう本格的な雨となり、その中を、再びグッショリとなりながら、ついて回った。

気がつけば、15000歩も歩いており、夕食前の血糖値も最高の数値を計上した。かなり疲れたけど、興奮のるつぼが生々しく身体のそこここに残っており、狂熱の日の余韻が快かった。問題は大量の写真の整理だが、奮闘努力の結果は歴然と残っているので楽しみだ。