◆電線マン

電燈

いまや名優の域に達している伊東四朗が、小松政夫と組んで、奇抜な格好をして歌い躍った「デンセンマンの電線音頭」という歌がはやったことがあったっけ。確か「デンセン ニ スズメガ サンバ トマッテ タ ソレヲ ーーー ト・ト・ト・ト」という出だしで始まり、以下はオチャラケになるという仕組みだった。あのヒットを境に伊東四朗は出世の道を駆けのぼり、小松政夫は単なる珍優で終わってしまった。

いまはそんなことはないとは思うが、外国人は日本と聞くと、以前は「フジヤマ、ゲイシャ、ハラキリ」だったし、いまは繁華街の華やかなネオンサイン、超高層ビル、マンガ、アニメ、ニンテンドウを思い浮かべるだろう。朝日夕刊の「クールジャパン」というコーナーで、日本通の外人ジャーナリストが電信柱と電柱がとても関心を引くと書いていた。柱に取り付けられた変圧器からあちこちに枝分かれして空中を走る電線がとても珍しい光景だったという。ヨーロッパの大都市、パリなどの電線は地下に埋め込まれていて、普段目にすることがないそうだ。

きのうの話と前後するが、コチトラ、目の前に電柱があっても普段見慣れているから、ちっとも気にしなかった。むしろ、近頃の電柱はコンクリートばかりになってしまって、昔のように木をいぶした電柱がなくなってしまったことばっかり気になっている。理由は簡単、気安く立ちションができなくなったからだ。寒い冬の夜、終電から吐き出され、ホロ酔い気分で、手頃な木製の電信柱を選んで、月を眺めながら、立ちションをする快適さといったら、そりゃあ、こたえられなかったね。やったことがない人には分からないだろうけどね。

そういえば、甥っ子の家族は、わざわざ遠い「ひばりが丘」に土地付き住居を買って引っ越していった。その理由を聞いてみたら、電信柱のない町に住みたかったからだという。その時、へえー変わった理由だなって、腹ん中では変人扱いしたもんだったが、こうした考えって進んだ考え方だったんだねえ。なるほど、改めてじっくり見てみると、ものすごい光景だね。トランスから枝分かれした電線が無数に拡散している。たぶん電線だけでなく、電話回線や光通信などが入り混じっているんだろうね。地下は上下水道、ガスなどの管物で一杯だろうしね。数日前、地震でかなり大揺れしたけど、災害が起こったとき、どうなっちゃうんだろうね。