◆テレビ番組

つたのある風景

午後7時台となると、右を向いても左を向いてもクイズ番組だらけだ。ブームとなったのは、芸人の能力を発掘できる才人、島田伸助が司会する「クイズ!ヘキサゴン?」と、司会者はなにもしないでいい「Qさま!!」(司会はさまーず)の成功によるものだ。3匹目のどじょうを狙って、他局も数多くのクイズ番組を放映しているが、難度の高い「クイズ雑学王」をのぞけば、独自性を打ち出したクイズより、当たっている番組に限りなく似せた方が数字を取れるっていうんだから、どうしようもないね。

ヘキサゴンが画期的だったのは、オバカサンキャラを作り出し、インテリチームと対比させたことだ。いまじゃ、オバカサンの珍回答に人気が集中し、インテリさんはまるで刺身のツマのような存在になってしまった。伸助のいじり方が絶妙で、ほかの番組がいかにしゃちほこだっても勝てっこない。
どこかの番組では伸助に対抗するように、人気者、鶴瓶を司会者に仕立て上げ、名乗りを上げたけど、伸助の知識に裏付けされた、当意即妙の対応、円熟した話術には及びもつかないだろう。

このクイズ・ブームで笑いが止まらないのが、クイズを作成する放送作家や問題作成のプロたち、クイズのノウハウを知りつくしたカレらは、あちこちの局から引っ張りだこだという。そして回答者、とりわけオバカサンキャラと対戦するインテリチームの面々、概してものすごいプレッシャーを感じながら出演していると聞く。だけど、これまでたいして役に立たなかった学歴や豆知識が役に立ちまくり、ブームのお陰で、すっかりスターダムを得ることができたのだ。

ただ、問題なのは、どこでも見つかるオバカサンとは違い、インテリチームの面子には限りがあり、各番組の出演者が重複し、次第に新鮮味を欠くことになることだ。また、十分の考証を怠ったため、クレームが起きたり、他の番組で出された問題と重複したりなど、問題点も多い。さて、おばかさんトリオは伸助自らプロジュースした「羞恥心」というグループを結成、デビュー曲、2曲目がともに大ヒットし、一躍スターダムにのし上がってきた。新しいタレントを発掘した、伸助の得意満面さが目に浮かぶようだが、人間調子に乗ると落とし穴がある。「伸助」、「羞恥心」ともども、あまり調子に乗らないようにさちしん、さちしん、初心に帰る心構えが必要だね。