◆テスト外出

カシワバアジサイ

入院3週目に入り、担当の女医さん(これがけっこうベッピンなんだなあ)に甘えたら、数日午後の外出許可を得られた。「せんせ、どうもあんがと」、早速翌日、先生から外出許可をもらったからと、担当のナースにいったら、外出願を出してください。って意外に冷たい。ゴチャゴチャ書く欄が多くあったが、外出目的に「散歩」って書いたら、病人なんだからと、「テスト外出」と書くことを強要された。なんでもいい、外に出られれば、ガマン、ガマンの子だ。

いつもなら、まず間食といきたいとこだが、それはじっと我慢、どうしても行きたい場所があった。それは秘密の花園越中島に秘かに見つけてあるガクアジサイの美しい場所である。今回入院が長期化しそうになって、一番気になっていた場所である。もう咲いてしまったんじゃないか、そればかりが気になって、ああ、気が狂いそう。ちゃんと待っていてくれよと前夜から祈っていた。当日は嬉しいことに梅雨の合間の快晴、少しでも早く会いたいから、普段なら歩くところをバス乗車。

やっとの思いで着いた先には、まるで待っていましたとばかりに、ガクアジサイが満艦飾でのお出迎え。やあ、間に合ったか、万感胸に迫る思い、久しぶりに操るデジカメの手先が不本意ながらも揺れる。まあ、慌てることはない、相手は逃げないんだからと、じっくり腰を据えた。まだちょっと早かったようだが、ここ数日の日照りで、やや元気がないのが気になった。トイメンにあるチョコレート色の珍しいタチアオイも元気で、早くこっちへ来いって呼んでいる。晴天の下で、暗色系の花を撮るのは至難の業なんだが、今日はどういうわけかうまく撮れた。

折角来たんだからと、近くの古石場公園にも足を延ばしたが、ここでは、なんと今年はダメだろうって、半ばあきらめていたショウブに出会った。それも5種類もが群生している。嬉しくて、切なくて、感謝感激雨霰、いいのをたくさん撮ってきたよ。長い公園なんだけど、終点まで歩き、散在するアジサイの群れを観察しながら、見せ場を探す。退院したらいの一番に行かざあなるまいて。気分よく病院まで歩いて帰ったら、8000歩近く歩いていた。その夜、低血糖状態に陥ったが、1300カロリーでは、やはり、ちょっと運動すると足りなくなるんだなあ。で、翌日の外出は取りやめることにしたよ。