◆ただいま

ガクアジサイ

押すとあん出るっていうわけじゃあないが、ようやくシャバに戻れることになった。待ちかねたシャバだったが、出てみれば出たで、クソ暑いなあ。よくもまあ、この暑さで人間が生きていけるなあ、なんて完全空調の中で守られてきた身にはひときわ辛く感じるなあ。1週間ぐらいという勝手な思い込みがまんまと外れ、教育入院という名目に切りかえられ、結果として3週間も獄窓生活をつづける破目になってしまった。

やれ、検査だ、やれ、手術だ、やれ、点滴だなどという忙しい病人に囲まれて、ほぼ健常な人間のやることといったら、3度3度出される薄味の食事と寝ることだけ、その閑さを見透かしたように、入れ変わり立ち替わり、ナース諸君から、教科書片手に糖尿病についての勉強が続き、やっと最後の教科、栄養士による食事指導にたどりつき、めでたく卒業できたという次第だ。それにしても糖尿病っていうのは厄介な病気だぜ。本体は知らん顔して、ちゃっかり別の器官を痛めつけているんだから。

初心に帰って、当分の間は、食前に血糖値を測り、その数値をもとに、与えられた1600カロリーの食事をどう配分していくかが決め手となる。それと塩分の取り過ぎには十分注意しなきゃならないだろうなあ。毎日血を見るのは、ほんとはいやなんだけど、しょうがないなあ。そして、やはり大好きだった間食を慎まなきゃ。今回入院するはめになった最大の原因は間食だったということがはっきり分かってしまったし。大好きな煎餅、揚げ煎餅、ピーナッツ、ナビスコなんかはかなり買い置きがあって、勿体ない気がするけどね。

しかし、きのうまでは6時起床、7時朝食、12時昼食、7時夕食、10時就寝だなんて、およそ考えられない生活を送ってきたが、朝はちゃんと起きられたし、夜は9時になると眠くなるっていうんだから、人間変われば変わるもんだ。そんなことを述懐しているのが、午前2時過ぎだというのに、ちっとも眠くないっていうのはどういうわけなんだろう。そういえば、きょう12時に出所し、家に帰ってきてから、いままで居眠り一つしてないよなあ。どうなっちゃってんだろう、この身体。

さて、この反省がいつまで続くかが問題だが、72歳にもなったことだし、身体をしっかり管理するのは、にょうぼに対する礼儀でもあるし、ガンバルしかないだろうなあ。それにしても、今晩は腹もちがいい。入院時に比べ、300カロリー増量が認められたのが、こんなに大きいとは、おどろ木、桃の木、山椒の木といったところかな。