◆ひげ

我が家の郷土玩具

閑なときは、なにげにあごひげを毛抜きで抜いている。興にのってくると、口ひげにまで手を出す。初めのうちは痛さに顔をしかめていたが、それも一種の快感と負け惜しみをいってるうちに、慣れてしまって、いまでは痛みさえ感じない。これまで自分の慣習上、「あご髭」って書いていたが、どうやら、「あご鬚」って書かなくてはいけないらしい。

「髭」、「髯」、「鬚」はいずれもひげと読むが、どこに生えるかで使う字が違う。口ひげは口髭、頬ひげは頬髯、あごひげは顎鬚となるが、ぶしょうひげや、ちょびひげ、つけひげ、更に、あごからもみあげまでつながるひげも慣例上、「髭」という字があてがわれる。さて、ひげに関するだけでもかなり使い勝手が悪いようだが、身体に関する言葉もかなり難しい字が多い。むろん読めない字も少なくないが、たとえ読めても、いざ書くとなると戸惑ってしまうような字も数多いようだ。

そこで、またしても漢字の読みテスト、どれだけ読めるかな。前回に比べて難易度は低いけど、見慣れない言葉も幾つか入っている。答えは下段を見てね。「顎、肋、頤、踵、踝、蟀谷、皺、臑、雀斑、胼胝、旋毛、膕、膝、肱、脹ら脛、腓、臍、膀胱、頬、黒子、盆の窪、睫毛、瞼、眉、眉間、鳩尾 、耳朶、痘痕、笑窪」。

五臓六腑」とは腹の中すべて、からだのすみずみという意味に使われる。「五臓」は漢方でいう心臓、腎臓、肺臓、肝臓、脾臓、「六腑」は大腸、小腸、胃、胆、膀胱、三焦。五つの内蔵と六つのはらわた。いまなら当然、五臓に入るべき膵臓は、この言葉が使われ始めたころには発見されていなかった。

三焦」は幻の臓腑といわれ、他の臓腑が、西洋医学的な臓器を含めた機能系に相当するため、イメージがつかめるが、三焦は、西洋医学的な臓器に相当するものがない。いまの通念では、三焦とは上焦・中焦・下焦の3つをあわせた呼び方をいう。 現在、我々の間で通説になっているのは臓腑の外にあり、且つ体の中にあるもの、つまり体の中での臓腑間の隙間を指すものだと考えられている。

「あご、あばら、おとがい、かかと、くるぶし、こめかみ、しわ、すね、そばかす、たこ、つむじ、ひかがみ、ひざ、ひじ、ふくらはぎ、こむら、へそ・ほぞ、ぼうこう、ほほ、ほくろ、ぼんのくぼ、まつげ、まぶた、まゆ、みけん、みぞおち、みみたぶ、あばた、えくぼ」。