◆どうでもいい話

ヤマボウシ

サクラが咲いていたのが、ついきのうのことのように思えるが、季節は巡り、もう5月も半ばである。いまさら、サクラでもないけど、花びらが風に舞い散る桜吹雪は春爛漫の大いなる幻影だった。サクラはハラハラ散るものであり、ツバキのように丸ごと落下することはない。ところで、桜吹雪で気になったことがあった。それはサクラの5弁の花びらがくっついたまま、木の下に散乱している光景で、以前にはほとんど見られなかったものなのだ。専門家によると、この光景は20年ほど前から見られるようになったという。

どうやら意外なことに犯人はスズメの仕業らしい。蜜を吸おうとして、くちばしで花の根元をちぎっているという。サクラの子房(花の根元)には蜜があり、くちばしが長いメジロヒヨドリはその蜜を上手に吸い取る。ところがスズメのくちばしは太くて短いため蜜を吸うことができない。それで、子房部分を直接食い破って蜜を取るのだそうだ。世知辛い世の中だから、スズメも新しい食習慣を身につけたらしい。

コチトラ、てっきり、あの汚らしいヒヨドリの仕業だと思い込んでいた。サクラに群がるヒヨドリの数がここんところ、ものすごい勢いで増えていたからである。春の風物詩でもあるメジロを威嚇して、サクラから追っ払ってしまう悪党ぶりである。まさか、スズメが犯人とはねえ、驚いたよ。スズメも都市の拡張に順応して、エサの領域を広げたようだが、カラスやヒヨドリのように、いやらしい鳥にはなってもらいたくないね。

都会で接する鳥といえば、ハトとスズメだが、最近やたらと数が増えたようだね。豊富なエサに恵まれて、みんな栄養状態がよく、コロコロと太っている。どちらも、こんなに人間のそばにいるくせに、どうしてあんなに用心深いのだろう。公園のベンチで、弁当なんか食べていると、いつのまにかハトやスズメがやってくる。だけど、決して一定線以上は近寄らず、目線を別のところにおいている。

鳥の目線は人間と違って180度近い視野があるそうだ。どうりでハトのやつ、近寄ってきながら知らん振りして、エサを投げるとさっと取りに行けるのだ。あの取り澄ました顔は時々憎く感じることもあるね。わざと足もとにエサを置くと、ハトはそ知らぬ顔をしてさっとかっさらっていくが、スズメは臆病もんだから、近づいてはこない。