◆あめ

ハコネウツギ

天気予報では、きのうから五月晴れになるってことだったが、曇り時々晴れだった。それでも気温は20度近くまで上昇したので、長袖ではちょっと暑かったね。ここ数日15度以下の気温が続き、何年ぶりかの3月上旬の寒さとなっていた。この間、毎日のように小糠雨が続いていたが、五月雨前のこうした雨を「卯の花腐し」というそうだ。しかし卯の花って目立たないね。雨に打たれて、変色しているのをみて、やっと卯の花が咲いていたんだって気がつくありさまだ。

人を鬱陶しい思いにする雨だが、あめの多い日本だけに、さすがにアメに関する言葉も多いね。「同じ字を 雨、雨、雨と 雨で読み」、漢字の読み方の多さを皮肉った当て字漢字の傑作ともいえる川柳がある。「同じ字を アメ、サメ、ダレと グレで読み」と小粋に読み込んでいる。小糠雨、村雨、五月雨、時雨といった具合だが、そのほかにも驟雨などのように「ウ」とも読むんだから、確かに雨の読み方は複雑多岐にわたる。それだけじゃなく、雨冠のついた字には、やたらと難しい字が多いのも特長だ。霰、霙、雹、靄、雫、霖雨、霹靂などが好例で、以下順に、アラレ、ミゾレ、ヒョウ、モヤ、シズク、リンウ、ヘキレキと読む。

四季の雨っていえば春雨、菜種梅雨、五月雨、麦雨、梅雨、夕立、秋霖、時雨、氷雨寒九の雨などがあるけれど、雨は降り方によっても、色んな呼び名がある。霧雨、小糠雨、御湿り、涙雨、俄雨、村雨、沛雨、驟雨、スコール、天気雨、長雨、霖雨、宿雨など枚挙にいとまがない。雨に関する慣用句としては、狐の嫁入り、五風十雨、篠を突く、車軸を流す、恵みの雨、遣らずの雨、乾天の慈雨などあるが、「車軸を流す」とは雨脚の太い雨が激しく降る様子をいう言葉だ。

菜種梅雨は春未だ浅い頃、静かに降る雨をいい、卯の花腐し(うのはなくたし)は春雨と五月雨の間に降る雨をいう。日照雨(そばえ)は天気雨のことだが、狐の嫁入りともいい、夕立は村雨やにわか雨の総称ともいえる。五風十雨は気候が過ごしやすくて、世の中が平和であるという意味になる。雨という言葉では、悲しむ女性が一際映えるもんだが、「雨やさめ」はひどく涙を流して泣くことをいい、「雨雫」は女性がさめざめと泣くことをいう。「雨降って地固まる」はよく冗談に地を痔に置き換えて、おちゃらけに使っているけども、「櫛風沐雨」は社会に出て辛酸をなめることをいう。