◆春たけなわ

市ヶ谷のサクラ

いよいよ、1年でもっとも素晴らしいシーズン、4月を迎えた。春たけなわ、どこへいってもサクラ色が光り輝いている。数日前、かなり強い風が吹き荒れたが、間違いなく春の風で、咲き出したばかりのサクラの枝も、強く揺れてはいたが、決して花ビラを散らすことはなかった。サクラ散る光景もこれまた情緒のあるものだが、それは未だ後の楽しみにとっておきたい。サクラの情景っていうものはどこにいっても、そのイメージがその場所に適応して別物を発見できる楽しさがある。

ここ数日、ものにつかれたように有名どこ、無名なとこと巡ってみたが、受ける感動はそれぞれに違う。新宿御苑のおおらかさ、北の丸公園側から眺めた千鳥が淵の夜桜の神秘さ、辰巳緑道公園サクラ並木の雄大さ、佃島公園の隅田川に垂れたシダレソメイの風雅さ、十間川沿いに広がる若木のけなげなしさ、木場公園の雑駁さ、そのどれを見ても、新しい喜びに満ち溢れてくる。新宿御苑など、3日も通ってしまったけど、行くたんびに新しい発見があって心が躍る。

きのうも、また新宿御苑へ行ってしまったけど、新しいサクラが咲き始めてないかって、気になってしょうがない。昨年はやむを得ずにパスしてしまったこともあり、逸る気持ちが抑えられない。いまはソメイヨシノは満開を過ぎ、次の日曜日辺りから散り始めるだろう。いま旬なのはヤマザクラオオシマザクラで、薄紅色に彩ってきた、コシノヒガンやエドヒガンは旬を過ぎて勢いを失ってきた。代わって早くもサトザクラ、つまり八重咲きのサクラが咲き始めた。ヤエベニシダレはかなりの勢いで咲いているし、シロタエやマツマエハヤザキも咲き始めた。チョウシュウヒザクラも赤褐色のつぼみが開きだしている。

これだから、一時も目が離せないということになる。きょう、じっくりと見て回ったが、ヤエザクラの王座を争うイチヨウとカンザンはようやくつぼみがふくらみはじめた程度、好みのイチハラトラノオ、フクロクジュ、ショウゲツは小さなつぼみ、ウコン、フゲンゾウ、ギョイコウは、やっと目覚めた感じ。
やれやれ、これだけ見定めておけば、当分は安心していられそう。明日は、久しくご無沙汰だった、もう一つのホームグランド、小石川植物園へ顔を出そう。ここも一度行くと、尾を引いてしまいそうなのが気になるけどね。