◆大手商社

ソメイヨシノ

中国で製造された冷凍ギョウザへの農薬混入事件では、中国当局による中国には責任がないとの言明により、混迷の度合いは深まるばかりである。ただ、どのように中国が弁明しようとも、農薬が食品に付着していたことは事実だから、中国への食のパッシングが起きるのは当然のことだ。コチトラみたいに、食に全く無関心なものでさえ、一応、必ず表示を見て中国産だと買わないもんなあ。

中国で製造された冷凍ギョウザへの農薬混入事件で大きくクローズアップされたのが、食への接近が目立つ日本たばこ産業、COOP、そして双日だった。ありゃ、双日ってなんだろうって思う人も多かっただろうが、これって大手商社、日商岩井のなれの果て(だなんていっちゃ悪いけど)だった。

就職氷河期と言われた1960年代、優秀な学生たちは銀行、大手商社、証券会社へ嬉々として就職していったが、人生って分からないものだねえ。山一證券の破綻をきっかけに、大型倒産が大手企業にも波及し、安宅産業、木下商店、東京通商などが消えていき、優秀な成績で入社した連中は、再就職の道を探すことになる。運否天賦っていうけれど、人の運命なんて分からないものだね。

あの頃の大手商社は三井物産三菱商事伊藤忠商事、丸紅飯田、日商岩井、東洋綿花、住友商事、日綿実業、兼松江商、安宅産業、大倉商事、東京通商、木下商店など。商学部の同級生は名門企業、安宅産業に就職したが、まもなく倒産、住友商事に併合されたが、住友が持っていったのは自社に欠けている部門のみ、その他の部分は社員ともども切り捨てられた。木下商店は三井物産東通は丸紅飯田に併合され、大倉商事は廃業した。その後、東洋綿花は豊田通商の軍門に下り、日商岩井ニチメン実業は合併し、双日として再出発した。丸紅飯田は丸紅となり食品専業商社、兼松江商は兼松となり羊毛専門商社に特化した。

現在三大大手商社といえば、三井物産三菱商事伊藤忠商事、以下、住友商事、大日、丸紅、豊田通商、兼松と当時に比べると、だいぶ様変わりしている。時期の差はもちろんあるが、三井は木下商店、住商は安宅産業、丸紅は東通豊田通商トーメンを併合、大日は日商岩井ニチメンが合併した。総合商社という存在は日本にしかない特殊な形態の企業らしいが、日本政府のつたない外交政策を補う活動を、海外で発揮している。